フィル・ティペットによるストップモーションアニメ映画『マッドゴッド』が、2022年12月2日(金)に公開される。
フィル・ティペットは、『スター・ウォーズ』『ロボコップ』『スターシップ・トゥルーパーズ』シリーズといった誰もが知る名作の数々を手がけてきた、“特殊効果の神”ともいえる巨匠。
スティーヴン・スピルバーグは「人生にはフィル・ティペットが必要だ」と語り、ギレルモ・デル・トロはフィル・ティペットを「巨匠であり、師であり、神だ」と形容する。また、ポール・ヴァーホーヴェンも「彼以上のマスターはいない」と発言するなど、ハリウッドの大物監督たちから敬愛を集める、ハリウッドの歴史の一端を担う人物だ。
映画『マッドゴッド』は、そんなフィル・ティペットが30年もの制作期間を費やして完成させた、執念と狂気のストップモーションアニメ。地獄のディストピアを描くダークファンタジー作品だ。
ティペットは1990年の『ロボコップ 2』の撮影後に『マッドゴッド』のアイディアを閃き、地道にプロジェクトを進めていた。しかし、1993年の『ジュラシック・パーク』以降は映像技術の発展とともに業界の潮流も変わり、ティペットの代名詞である“手作りの視覚効果”から“CG映像”へと移行していった。それに伴う形で、「俺の仕事は絶滅した」とプロジェクトは中断されてしまう。
ところが、それから20年後、ティペット・スタジオの若きクリエイターたちが倉庫を掃除していたところ、奇跡的に当時のセットを発見。彼らの熱望により企画が再始動することとなり、フィルは新世代のアーティストや職人に指導しつつ、愛情を込めた作品を蘇らせたのだった。
『マッドゴッド』では、かつて誰も見たことのない暗黒世界を舞台に、人類最後の男に派遣された孤高のアサシンが荒廃した地底に潜り、拷問された魂、老朽化した地下壕、うごめく不気味なクリーチャーたちのあいだを巡っていく。そこにあるのは、無残な化け物たちの巣窟と化したこの世の終わり。
見開かれた血眼や、鉄鋼のマスクをつけて殴り合う凶暴な獣、電気椅子に並んで座らされる巨人たち、毒々しい色合いの空間でトランプに興じるノミたちなど、地獄のディストピアの圧倒的な世界観や、細部までこだわり抜かれた緻密な造形、グロテスクな質感にも注目だ。
また、『レポマン』や『シド・アンド・ナンシー』で知られる映画監督のアレックス・コックスが、人類最後の男「ラストマン」に扮して出演している。
アサシン /THE ASSASSIN
ガスマスクと時限爆弾を装備し、地底世界に降りてきた主人公。
シー・イット /SHE-IT
剥き出しの大きな歯がチャームポイント。出刃包丁を振り回す。
クリープ /THE CREEP
ドラム缶の中に生息し、獲物に罠を仕掛ける。天敵はシー・イット。