東京・六本木の泉屋博古館東京では、リニューアルオープン記念展IV「不変/普遍の造形 ─住友コレクション中国青銅器名品選─」を、2023年1月14日(土)から2月26日(日)まで開催する。
泉屋博古館東京のリニューアルオープン記念展パート4となる「不変/普遍の造形 ─住友コレクション中国青銅器名品選─」では、泉屋博古館所蔵の住友コレクションから、世界屈指とされる中国青銅器を紹介。選りすぐりの名品を一堂に集め、造形や文様、銘文、鑑賞の歴史といった角度から、その魅力を丁寧に紹介してゆく。
殷や周といった古代王朝が栄えた約3,000年前の中国では、高度な青銅器文化が発達した。その最大の特徴は、神々に捧げる祭祀のための器が発達した点であり、とりわけもっとも重視されていた祖先神をもてなす器を作るため、当時貴重であった青銅が贅沢に用いられたのだった。第1章は、「爵(しゃく)」や「兕觥(じこう)」、「卣(ゆう)」など、中国青銅器のさまざまな種類を用途に着目して紹介するとともに、しばしば難読漢字が使われるその名前の由来と意味にも光をあてる。
中国青銅器の大きな特徴のひとつが、器の表面を埋め尽くすようにあらわされた文様やモチーフだ。その繊細複雑な造形は、古代中国における思想や信仰をあらわすとされ、人間にとって危険であるがゆえに聖性を帯びているという「二面性」を特徴としている。また、実在の動物をそのままあらわすのではなく、それらの要素を組み合わることで文様を生みだすという「キメラ」としての性格も認めることができる。第2章では、「饕餮文方罍(とうてつもんほうらい)」や「戈卣(かゆう)」などの中国青銅器の文様を、「二面性」と「キメラ」という2つの視点から探ってゆく。
第3章で着目するのは、器の内側。そこに施された文字は「金文」と呼ばれ、現在の漢字の直接の祖先にあたる。青銅器の金文からは、古代中国の人びとがどのような思いを込めてこれらの器を作っていたのかを垣間見ることができる。会場では、当時の社会状況を今に伝えるばかりでなく、文字としての美しさをも備えた金文に光をあて、釈文や現代語訳とともに丁寧に解説する。
殷周時代には祭祀儀礼用の器が盛んに作られたものの、秦漢時代には衰退し、徐々に日用品としての性格を強めていった。しかし、宋時代になると古器物への関心が高まり、殷周青銅器が再評価されるようになる。こうした背景のもと、宋時代には殷周青銅器を模した「倣古銅器(ほうこどうき)」が数多く製作されるようになり、交易を通じて中世日本にももたらされ、「唐物」として珍重されることになった。第4章では、中国青銅器の鑑賞の歴史と、それが美術工芸品に与えた影響について紹介する。
泉屋博古館東京リニューアルオープン記念展IV「不変/普遍の造形 ─住友コレクション中国青銅器名品選─」
会期:2023年1月14日(土)〜2月26日(日)
会場: 泉屋博古館東京
住所:東京都港区六本木1-5-1
開館時間:11:00~18:00(金曜日は19:00まで開館)
※入館は閉館30分前まで
休館日 :月曜日(祝日の場合は開館、翌平日休館)
観覧料:一般 1,000円(800円)、高校・大学生 600円(500円)、中学生以下 無料
※( )内は20名以上の団体料金
※障がい者手帳の提示者本人および同伴者1名まで無料
【問い合わせ先】
TEL:050-5541-8600 (ハローダイヤル)