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滝藤賢一にインタビュー、映画『ひみつのなっちゃん。』ドラァグクイーン役への覚悟と役作り

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滝藤賢一 インタビュー|写真2

映画『ひみつのなっちゃん。』で映画初主演&ドラァグクイーンのバージン役を演じた滝藤賢一にインタビューを実施。徹底した役作りや、俳優業にかける情熱、そして”服好き“な一面を持つ滝藤のファッションに対する愛まで、知られざる滝藤の魅力をお届けする。

映画初主演!ドラァグクイーン役を演じるまで

滝藤賢一 インタビュー|写真7

滝藤さんにとって、記念すべき初主演となる映画となりましたが、本作の出演を決めた経緯を教えてください。

まずオファーをいただいてから、作品の脚本を読ませていただいたんですけど、果たして自分がバージン役に適しているのか悩んでしまったんですよね。僕よりも、役柄同様にLGBTQ+の方を起用したほうが、映画に説得力が生まれるのでは、と不安に感じていたんです。

それに僕はこれまでドラァグクイーンのショーにさえ行ったことがなかったので、限られたイメージの中でしか、この役柄を考えることができなかった。そういった悩みを監督やプロデューサーの方に伝えたうえで、こんな僕でも安心してできる環境を用意していただけるとのことでしたので、この役柄に挑戦することを決意しました。

出演が決まってからは、ご自身でドラァグクイーンやトランスジェンダーにまつわる作品を沢山鑑賞されたのだとか。

はい。『プリシラ』『キンキブーツ』『RENT』『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』といった映画作品を見漁りましたね。もちろん、これらの作品からもインスピレーションをもらったですが、なんかしっくりこなくて、研究するならば女性ではないのか?そもそも幼い頃から女性に影響を受けてきたのではないか?と方向転換したんです。つまり、ドラァグクイーンやトランスジェンダーの方の生き様を作品から真似ても意味がなく、バージン役の視点に立ったうえで、女性のどんな所作やスタイルに憧れを持っているのか、僕自身が気付く必要があったというか。

滝藤賢一 インタビュー|写真12

なるほど。具体的に、どんな女性たちを思い浮かべたのでしょうか?

やはり世界的なアイコンであるオードリー・ヘップバーンやマリリン・モンローをパッと思いつきました。永遠の憧れでしょう?"イギリスのオードリー、アメリカのモンロー”って勝手に呼んでますから(笑)

それから僕の場合は、これまで男として生きてきた所作が身体にがっつり染めついていたので、バージン役を演じるうえでも、”女性よりも女性である“ことを意識する必要があったんですよね。そのうえでも、手の動かし方ひとつから、しなやかな身体のラインに至るまで、彼女たちの美しいスタイルは非常に勉強になりました。

自分でもしっくり来るようになってからは、撮影に入る何カ月も前から日常生活にもそういった所作を取り入れ始めたんです。朝起きてから、夜お風呂に入るまでずっと。僕の奥さんは非常に嫌がっていましたけど(笑)、そこまで徹底しないと人間のクセってどうしても映像に映し出されてしまう。美しく足を組んだつもりでも、僕の場合ただのおじさんになってしまいますから。「これが僕の日常なんだ!」って自分を騙す必要があった。大げさに女性の仕草を身に染め込ませていたので、現場に入ってからは迷うことなく、楽しく演技をすることができました。

”新たな自分“との出会い

滝藤賢一 インタビュー|写真10

女性目線から見ても、本当にうっとりしてしまう程、美しい立ち振る舞いでした。そもそも、これまでも女性役を演じられたことはあったのでしょうか?

この作品に入る前のタイミングで、中村倫也くん主演のドラマ『珈琲はいかがでしょう』でスナックのママ・あけみ役を演じさせていただいたんですよ。それが僕にとっての初のガッツリ女性役でした。

監督は『かもめ食堂』や『めがね』の荻上直子監督だったんですが、演技をするたびに「あけみちゃん、男になってる」「そんな手ブラブラさせて歩かない」って率直な意見を言っていただけたんです。“なるほど、自分が思っている以上に女性らしく振るまわないと、女性に見えないんだ“って、そこで学ぶきっかけがあったのは非常に良かった。今回の作品にも繋がる良いタイミングでしたね。

それでは、ふたつの作品を通して、所作だけでなく、<心理面>でも女性になりきることはできましたか?

こればかりは本当に難しくてですね…。僕は男としてのアイデンティティを持って生きてきたわけなので、どうしても女性の内面を100%理解してなりきることはできないんです。

例えば『ひみつのなっちゃん』では、今話しているくらいの低いトーンで、バージン役を演じているんですけど、当初はちょっとでも女性っぽく見えるように、甲高い声でやろうとしていたんです。けれど声だけ取り繕っても、“嘘に嘘を塗り固めていく”ような気分になってしまって気持ちが悪かった。それなら声に頼らず、素の自分でこの役に勝負してみたかったんですよね。言語化が難しいのですが、作られた台本の物語の中で、セリフを使ってどこまで女性を表現できるか、自分の中に落とし込んでいった感覚ですかね。

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逆に、これまでの役にはない楽しさを感じられたことは?

それはやっぱり女装ですよね。特に『ひみつのなっちゃん。』では、本当に綺麗にメイクアップしていただいて、純粋に楽しかったです。僕、過去に“虫役”をやったこともあるんですけど(笑)、そういった経験と比べても、どんどん美しくなっていく自分を見れるって嬉しいんですよ。虫は虫で貴重な体験でしたし、格好良かったですけどね。バージンは自分でも信じられないくらい綺麗だなって、本当に思ってしまいましたもん(笑)

パーソナルトレーナーもつけて、しなやかな身体も出来上がっていましたし、今まで知らなかった滝藤賢一の新たな一面と出会えた気がして、一種のエクスタシーを感じましたね!またやってみたいです。

本質的な役作り

滝藤賢一 インタビュー|写真14

映画『ひみつのなっちゃん。』では、個性豊かなドラァグクイーンたちが登場しましたが、悩んだり、葛藤したり、思わず共感してしまうシーンも沢山ありました。

悩みってね、ジェンダーも年齢も関係ないんですよ。人間である以上、恋愛や友情、親子関係…誰にだって悩みがある。クイーンだから特別なんてことは、何もないんですよね。

そういった点の役作りから見ると、人間ならではの複雑な感情描写は他の作品も変わりませんから、スッと入り込むことができました。もちろん映画の中ではギラギラの衣装も楽しめるとは思いますが、そこだけではなく、登場人物の内面にフォーカスを当ててみていただけると、共感出来るところがたくさんあると思います。

つまり本質的な役作りへの取り組みは、変わっていないということですね。

そうなのかもしれません。先ほどお話した通り、もちろんこの役柄ならではの難しさは確かに有りましたが、どの役柄にも共通している要素があるのだと思います。特に人間の核となる“繊細な部分”はね。あと僕の場合は、どの芝居の中でも<呼吸>を意識することも共通していますね。

滝藤賢一 インタビュー|写真13

具体的に言いますと?

僕の師匠から「空気はタダだ」って教えられてきたこともあって、駆け出しの頃から<呼吸>を意識した芝居が身に染み込んでいるんですよ。息を沢山吸ったら大きな声が出るし、逆に慌てたり泣いたりするシーンでは、あえて変なところで呼吸してみたりする。凄くシンプルなんですけど、呼吸のテンポを変えるだけで、あっ、この人バランス崩してるってなる気がするんです。

これまでは芝居の時にしか意識していなかったんですけど、この歳になって日常でも<呼吸>がいかに大切か感じています。“全てに繋がっている”いう感覚なのかな。だから最近では毎日のルーティンの中に、呼吸法も取り入れているんです。

俳優業について

滝藤賢一 インタビュー|写真1

ラストは滝藤賢一の俳優業にフォーカス。脇役から主演まで、幅広い役柄をそつなくこなす“カメレオン俳優”滝藤は、一体どのような俳優人生を歩んできたのか?“映画少年”だった子供時代から、恩師との出会い、現在のキャリアまで、たっぷりと話を伺うことが出来た。

デビュー前は、映画監督を目指していたと伺いしました。そもそも、この業界自体を目指したきっかけは?

小学校の時から、映画が好きだったからじゃないですかね。僕らが小学生の頃は、金曜日から日曜日まで必ず21:00から映画がTVで放送されていて、もう夢中になって観ていたんです。当時はジャッキー・チェンやエディ・マーフィー、クリント・イーストウッドなんかが時の俳優で、彼らが出てる映画はひとしきり観ましたね。

ではそんな”映画少年“が、映画監督の夢を諦めてしまったのは何故でしょう?

映画演出を学ぶために、上京して専門学校に入学したんですけど、そこで一瞬で映画監督の夢は崩れちゃったんですよ。”こういうことを勉強しないと、映画監督になれないのか!“って。(笑)そこから夜学に変えたりしている最中に、デビュー作となる『バレットバレエ』のオーディションを受けて。”俳優って奥深く面白そう。勉強してみたいな”と思ったんです。

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