実際に俳優の道を歩み始めてから、俳優業の楽しさはすぐに感じることはできたのでしょうか?
正直、未だに感じているか分からないですよ。駆け出し当時なんて猶更ですよね。本当に余裕が全くなくて、演技をしている最中に、自分が話している声が聞こえないくらいガチガチに緊張していましたから。
仲代達矢さんが主催する「無名塾」で芝居を始めたのですが、稽古中に一歩歩けば「違う」、声を出せば「聞こえない」ですから。徹底的に芝居の基礎を教え込まれましたね。なぜか若い頃って“根拠のない自信”に満ちていたりすると思うんですけど、見事に鼻っ柱をへし折られたといいますか。俳優業の厳しさを痛感しました。
そんな過酷な稽古も経験しながら、”俳優業の道が正しい“と、ここまで信じることが出来たのは何故でしょう?
考えたこともなかったです…。僕はただ、俳優という職業に夢中になっていただけだと思います。“奥深さ”といいますか。それに最初の頃なんて自分よりも下の世界がないから、上を目指すしかないじゃないですか。そうやってグングン上がっていく楽しさを覚えて、ここまで突っ走ってこれた感じもします。逆に俳優しかできないことに、恐怖を感じ続けてもいますしね。子供も4人いるし、引っ越したばかりだし。(笑)
結局自分の人生は自分で責任をとらなければならない。都合よく、自分の好きなことを用意してくれる人がポン!て現れることなんてないんです。それなら僕は、自分のハートに従って、好きなことを続けていきたい。そのほうが、絶対楽しいですもんね。
素敵な考え方ですね…!滝藤さんのお子さんにも、好きなことをしてほしいと感じますか?
ぜひやって欲しいですね!僕自身の親も”やりたいことを、やりなさい“と、応援してくれるタイプでしたので、それは今になっても、ありがたかったなと実感しています。
子供の将来を想って、「こっちの選択の方がいいんじゃない?」って誘導する親の気持ちもわかるのですが、やっぱり”自分で見つけた“好きなことに敵うものはない。僕の子供たちも、コレだ!って本当にときめくものを見つけてくれたら嬉しいです。
最後となりますが、滝藤さんにとって俳優業とは一体どんなものでしょう?
夢中で遊べるものですかね。“遊べる”って言ったらまずいか(笑)うーん…夢中になれる“何か”。僕って本当にラッキーなんだなって思うです。本当に好きなことをやって、それで生活を送ることが出来ているのですから。恵まれているなって、感謝しています。
芸能界の“ファッショニスタ”としても名高い滝藤賢一。インタビュー当日は、ALL私物&自らスタイリングしたというセンス抜群なスタイルを披露した滝藤に、ファッションにおけるこだわりや、おしゃれポイントについても話を伺ってみた。
パープルのジャケットがお似合いです!本日のスタイリングを教えてください。
ニードルズ(NEEDLES)を中心に揃えました。ジャケット、パンツ、ジレは全部ニードルズです。シャツはエンジニアド ガーメンツ(ENGINEERED GARMENTS)で、タイ ユア タイのネクタイを合わせました。
普段からネペンテス系のブランドを、集めていらっしゃるんですか?
はい。僕は古着も好きなんで、お気に入りの古着屋さんに入り浸っているのも楽しい。今日纏っているものも殆どヴィンテージですね。
アクセサリーのスタイリングも素敵ですね。
ありがとうございます。バタフライのアクセサリーは凄くお気に入りで、高円寺の「ポルカドット」でオーダーしたもの。それから、このバングルは昨日届いたばかりなんですけど、恵比寿「MARS」でオーダーした僕だけのアイテムです。メディア初公開!(笑)
ファッションへのこだわりが感じられます。最近ではアシックス(ASICS)のショーのモデルにも起用されていらっしゃいましたが、ファッションの現場はいかがでしたか?
凄く楽しかったです!若い世代のモデルさん中心の現場でしたので、普段の仕事には無いフレッシュかつ貴重な経験でした。
もちろん本業でも若い俳優との交流はあるんですけど、モデルさんとはまた全然空気が違う。芝居の現場は非常に長丁場なので、世代問わず、皆グッと耐えしのぐ性質を持っているというか(笑)一方ファッションの現場は、より自由度が高くて、モデルたちがそれぞれの個性をしっかりと出しているのが印象的でした。しまいには、「早く帰ろうよ~」なんて言い出す人も出てきてね。芝居の現場だったら凍りつきますよ(笑)
<衣装クレジット>
・ジャケット:ニードルズ
・パンツ:ニードルズ
・ジレ:ニードルズ
・シャツ:エンジニアドガーメンツ
・ネクタイ:タイ ユア タイ
・シューズ:アレン エドモンズ(Allen Edmonds)
・バングル:恵比寿「MARS」のオーダーアイテム
他、高円寺「ポルカドット」のアクセサリーなど。
映画『ひみつのなっちゃん。』
公開日:2023年1月13日(金) ※1月6日(金)愛知・ 岐阜 先行公開
出演:滝藤賢一、渡部秀、前野朋哉、カンニング竹山、豊本明長、本多力、岩永洋昭、永田薫、市ノ瀬アオ、アンジェリカ、生稲晃子、菅原大吉、本田博太郎、松原智恵子
脚本・監督:田中和次朗
製作:東映ビデオ 丸壱動画 TOKYO MX 岐阜新聞映画部
ロケ協力:岐阜県郡上市
ドラァグクイーン監修:エスムラルダ
主題歌:「ないしょダンス」渋谷すばる
配給:ラビットハウス 丸壱動画
<あらすじ>
ある夏の夜、なっちゃんが死んだ。つまらない冗談を言っては「笑いなさいよ!」と一人でツッコミを入れていたなっちゃんは、新宿二丁目で食事処を営むママ。その店で働くモリリンはドラァグクイーン仲間のバージンとズブ子を呼び出す。彼らがまず考えたのは なっちゃんが家族にオネエであることをカミングアウトしていなかったこと。証拠を隠すため なっちゃんの自宅に侵入した 3 人は、なっちゃんの母・恵子と出くわしてしまう。何とかその場を取り繕った彼らだが、恵子から岐阜県郡上市の実家で行われる葬儀に誘われてしまい、なっちゃんの“ひみつ”を隠し通すため”普通のおじさん”に扮し、一路郡上八幡へ向かうことになる……。