2025年2月7日(金)公開の映画『大きな玉ねぎの下で』にて、W主演を務める神尾楓珠と桜田ひよりにインタビュー。
爆風スランプが1985年にリリースした「大きな玉ねぎの下で」は、文通相手を指す“ペンフレンド”の女性を一途に想う、ある男性の淡い恋模様が綴られたバラードソング。歌の主人公の彼は、とあるコンサートをきっかけに、“ペンフレンド”の彼女と初めて、“大きな玉ねぎ”を意味する日本武道館の下で会う約束をする。しかし、いつになっても彼女は姿を現さず、最終的に涙を浮かべながらひとりで帰っていく。
そんな名曲をもとにした映画『大きな玉ねぎの下で』は、同じバイト先に勤めるふたりの学生が、連絡用のバイトノートを通して恋に落ちていく物語。顔は見えない関係性ながらも、相手を想う気持ちを繊細に描いた心温まるラブストーリーとなっている。
映画公開に先駆け、神尾楓珠と桜田ひよりにインタビューを実施。平成を彩った名曲「大きな玉ねぎの下で」への想いや、物語の軸となるバイトノートにちなんだ“手書き”のメッセージについて、そして俳優としてキャリアを重ねるふたりの“20代になって成長したこと”など、貴重な話をたっぷり伺った。
爆風スランプの名曲「大きな玉ねぎの下で」からインスパイアされた今作への出演の話を聞いて、率直にどう感じました?
神尾:僕が生まれる前から愛されてきた名曲なので、時代背景を含め、楽曲への理解度を高めたいと思いました。
桜田:曲をモチーフにした作品に携わるのが初めてだったので、すごくワクワクしましたね。歌詞を見て切ないな…と感じる部分もあって、そういった感情の機微をきちんと映画に反映していきたいと思いました。
神尾:どこか切ない気持ちになるよね。歌詞が物語になっていて、自然と情景が浮かんできました。
普通のラブストーリーとは異なり、顔を知らない相手の“内面に惹かれ合っていく”姿が繊細に描かれていたと思います。演じる上で、意識されたことはありますか?
神尾:確かに、顔の見えない人に惹かれていくストーリーは初めてでした。メッセージを書くシーンがたくさんあったのですが、その時にひよりちゃんの顔が出てこないように意識しましたね(笑)。丈流の中の想像の人を想って演じました。
桜田 :丈流とリアルで会ってる姿と、顔の見えない人に向けて自分の想いを綴っている姿で、見せる表情が変わるように意識していました。メッセージを書いているシーンでは、より女の子らしい表情になっていると思うので、ぜひ注目してください!(笑)
お2人自身は、誰かに手書きのメッセージや手紙を書きますか?
桜田 :私は、たまに誕生日プレゼントと一緒にお手紙を入れて渡すことはあります。
神尾:僕は、本当に少なくて…もうそれこそ卒業アルバムの1番最後のページにメッセージ書いたくらいしか記憶にないですね。
今はSNSですぐに繋がれる時代ですけど、手書きのメッセージだからこそ伝わる温かさもありますよね。
神尾:それは絶対あると思います。その人のために手間をかけてメッセージを書いたり、送ったりすることって、今の時代だとなかなか味わえない経験ですし、手紙が思い出として残るっていうのも素敵ですよね。
桜田: SNSでファンの方からコメントいただくことももちろん嬉しいんですが、たまにファンレターをいただくと、温かい気持ちになります。便箋を選んだり、ペンの色を選んだり...と自分のために時間をかけてくださったのを感じて、本当にありがたいなと心から思います。
神尾:熱量や想いが伝わりますよね。あの時代だからこそできた経験だと思うので、羨ましいです。
桜田:そうですね。字を間違えないように気を付けたり、下書きして失敗したら書き直したり、誰かのことを思って過ごす時間っていうのは、とても大切だと実感しました。
ちなみに、普段のお2人は“文字で伝える”SNSでのやり取りと、リアルで会うコミュニケーションのどちらを大事にされるタイプですか?
神尾:僕は会うタイプです。仲いい友達とは結構頻繁に会って、お酒を飲んでますね。多いときは週に3~4回は会うので、逆に言うとLINEでの連絡はあんまりないかもしれないです(笑)。
桜田:私も会う派。LINEで密にコミュニケーションを取らないので、前々から予定を決めるというよりは、「今日会おう」とか「明日会おうよ」という感じで会うことが多いです。基本的に仲いい子から誘われたら、行くようにしています。
どなたとよくやり取りをしますか?
神尾:俳優の伊藤あさひが1番仲いいんですけど、彼と出会ってからはずっとハイペースで会ってますね。ご飯に行ったり、飲みに行ったり、ドライブしたり…色々やってます。
桜田 :私は、吉川愛ちゃん。少し前ですが、2人でディズニーランドに行きました(笑)。
素敵ですね~!
桜田さんは幼少期から、神尾さんは10代から俳優としてのキャリアを築かれています。10代の頃に苦労したことや、20代になってからのご自身の“成長ポイント”を教えていただけますか?
神尾:10代の頃は人見知りで、仲のいい人としか話してこなくて(笑)。芸能界に入ってから大人の方と話す機会が増えたんですが、うまく喋れず、年齢が上の方となかなか仲良くなれないっていう苦労はありましたね。
桜田:私は神尾さんと逆かもしれない。小さい頃から大人の方とご一緒させていただいて、皆さんに甘えられる時間が多かったので、同世代の子と話が合わなくなってしまって、すごく悔しかったです。
例えば「学生時代に青春しましたか?」って聞かれても、正直あんまり思い出が出てこなくて。それだけお芝居に夢中になっていた部分もあると思うんですけど、もう少し“青春”っていうものを味わえばよかったなぁと今になって思います(笑)。
お2人とも違った苦労があったのですね。どのように乗り越えられたのでしょう?
神尾:20代になり、自分の視野が広がったような気がします。自分が年を重ねたことで自然と大人の方と話が合うようになってきたので、“コミュ力”(コミュニケーション能力)は成長してると思います!
桜田:私もコミュ力が上がりました。最近は年下の方と共演する機会も増えて、昔より同世代の方ともコミュニケーションが取れるようになりました!いろんな方のお話を聞くことで、自分の考え方も1つの固定概念に囚われず、多角的に物事を見れるようになってきたと感じています。
子役時代から人見知りはしない方だったのでしょうか?
桜田:昔は人見知りしてました。今でも何話したらいいかわからないな…と思うときはありますが、もう直すことは諦めました!(笑)すごく自分が無理している瞬間もありましたし、その無理が自分の成長に繋がったらいいんですけど、私は負担に感じてしまうタイプだったので。“人見知りの自分“を受け入れてからは、フラットに現場にいられるようになりましたね。
“ターニングポイント”になった作品はありますか?
桜田:風間太樹監督のドラマ「silent(サイレント)」と映画『バジーノイズ』です。風間監督と出会って、演技との向き合い方がすごく明確になりました。自分が1番やりやすくて、自分の魅力を最大限発揮できる方法がわかったので、監督と出会えたことは自分の財産だなと思っています。
神尾:僕は、ドラマ「3年A組ー今から皆さんは、人質です」ですね。あれだけの人数の同世代と一緒になることは滅多にないので、すごく刺激をもらいました。「3年A組」で“同世代にこれだけすごい人たちがいっぱいいるんだ…”と実感して。そこから芝居に本気で向き合おう!と、自分の中で意識が変わりました。
共演者の皆さん、活躍されている方たちばかりですもんね。
神尾:そうですね。「3年A組」で仲良くなった萩原利久や若林時英、ほかの共演者の活躍を見ると、僕も頑張らなきゃなって気が引き締まります。
撮影の合間、神尾楓珠さんに演じることの魅力について聞いてみた。
神尾:普通に“神尾楓珠”として生きていたら経験しなかったであろう感情や状況を、役を通して経験できることです。日々、自分がこんな感情になれるんだという発見があります。
例えば、役に怒りの感情があった場合、その怒りの感情がプライベートでも出てくるかって言われたら違って、その役だからこそ出るものではあるんですけど…演じているときに“新しい自分を見た!”というような不思議な感覚になります。
【作品詳細】
映画『大きな玉ねぎの下で』
公開日:2025年2月7日(金)
監督:草野翔吾
脚本:高橋泉
出演:神尾楓珠、桜田ひより、⼭本美⽉、中川⼤輔、伊東蒼、藤原大祐、窪塚愛流、瀧七海、伊藤あさひ、休⽇課⻑、和⽥正⼈、asmi、飯島直⼦、⻄⽥尚美、原⽥泰造、江⼝洋介
音楽:大友良英
ストーリー原案:中村航
Inspired by 爆風スランプ「大きな玉ねぎの下で」
配給:東映