風月堂(FUGETSUDO)は、日本の老舗菓子ブランド。
初代・大住喜右衛門が宝暦3年(1753年)に菓子屋「大坂屋」を開業し、文化9年(1812年)に松平定信から「凮月堂清白」の商号を選授したことから屋号を「風月堂」とした。創業家が継ぐ上野風月堂に加え、風月堂総本家からの暖簾分けを経て、東京風月堂、神戸風月堂が展開されている。
風月堂の看板商品「ゴーフル」は、薄く“せんべい状”に焼き上げた生地に、クリームをサンドしたスイーツ。口に入れると、サクサクに焼き上げた生地とクリームがスーッと溶けていくような感覚を楽しめる。
■上野風月堂
明治の初期から2枚の鉄板で生地を挟んで焼く「はさみ焼」技法を使った「カルルス煎餅」を販売していたことから、「カルルス煎餅」の技法を生かして「ゴーフル」を風月堂一門の工場で開発。1929年に、風月堂一門によって上野風月堂の代表菓子「ゴーフル」が誕生した。
さらに、「ゴーフル」で培った伝統のはさみ焼技法を生かして、「東京カラメリゼ」を開発。「東京カラメリゼ」はブランド化した。また、創業270周年の上野風月堂本店リニューアルを機に、モチモチ食感の皮にフレッシュなクリームを挟んだ「ゴーフレーシュ」を発売し人気商品に。「ゴーフレーシュ」の皮も、職人が一枚一枚「はさみ焼」で焼いている。
その他、「ゴーフルクラッシュクッキー」や「クリームサンド」、「東京カステラ」、「マロングラッセ」などの洋菓子を展開している。
上野本店に加え、全国小売店などで商品を販売している。
■東京風月堂
東京風月堂は、創業140余年の老舗菓子ブランド。その起源となるのは、明治5年(1872年)に凮月堂総本家からの暖簾分けによって誕生した「米津凮月堂」にまで遡る。
1927年より販売している銘菓「ゴーフル」を看板商品とし、「ゴーフル」をミニサイズにした「ゴーフレット」、ラングドシャの「パピヨット」、「マロングラッセ」、「リーフパイ」などを販売。焼菓子の他、フレッシュケーキの販売も行っている。
商業施設内などにオフィシャルショップを構える他、商品のみの展開も全国で行っている。また、東京風月堂 銀座本店ではカフェ&ショップを展開している。
■神戸風月堂
神戸風月堂は、「ゴーフル」をはじめ、焼き菓子を展開する洋菓子ブランド。創業120年を超える、神戸の老舗。
神戸風月堂の「ゴーフル」は、1926年頃、洋行帰りの客がフランスの焼菓子を持参し、「日本でもつくってみてはどうか」と提案したのがきっかけで誕生した。日本人の嗜好に合うように、フランス製の特徴を生かしつつ和菓子の長所も取り入れたスイーツに仕上げた。1927年より販売を開始。
バニラ・ストロベリー風味・チョコレートのフレーバーで展開される「ゴーフル」に加え、“おやつの時間を楽しむゴーフル”という意味を持ち、和洋の茶を表現した「ゴーフル・オ・グーテ」、「プティーゴーフル」「ミニゴーフル」といったバリエーションを用意。その他、クッキー「デセールショアジ」や「神戸ぶっせ」、「フィナンシェ」などの焼き菓子を揃える。
百貨店への出店を中心に、全国で店舗を展開している。
■風月堂の歴史
1753年、1747年頃に江戸に下った初代大住喜右衛門が“大坂屋”を屋号として菓子屋を営む。
1789年、老中松平定信より「御定用・御菓子調進」を命じられる、栗饅頭を創製する。
1812年、楽翁・松平定信から商号に“凮月堂清白”の5文字を選授、屋号を「凮月堂」とする。
1872年、米津松造が両国若松町に“白翁に月”の暖簾を分けてもらい、「米津凮月堂」を開業。
1893年、神戸風月堂の初代となる吉川市三が、東京南鍋町の風月堂に徒弟奉公に入る。
1897年、吉川市三が本店からの暖簾分けを経て、「神戸風月堂」を開店。
1897年、「米津凮月堂」が宮内庁御用達になる。
1905年、「上野風月堂」を開店。
1927年、「南鍋町米津凮月堂」が「ゴーフル」考案、販売を開始。
1945年、東京大空襲により「上野風月堂」の店舗が焼け落ちる。
1946年、米津修二、株式会社米津凮月堂を設立。
1947年、「上野風月堂」新店舗オープン。
1965年、株式会社凮月堂を設立。米津修二を会長に、髙瀬孝三が社長に就任。
1966年、株式会社凮月堂を株式会社東京凮月堂に改称。
1969年、「東京風月堂」としての直営店第1号東中野店開店。
1972年、株式会社東京凮月堂の本社を銀座2丁目8番2号に移転、同時に「東京風月堂」銀座店を開店。
2017年、創業270周年を記念し、「上野風月堂」本店を大規模リニューアル。