震災から半年後の宮城県仙台。職を失った青年・和正は、同じく震災で飼い主を亡くした1匹の犬・多聞と出会う。聡明な多聞は、和正とその家族に瞬く間に懐き、一家にとって無くてはならない存在となるが、多聞は常に<南の方角>を気にしていた。そんな中、家族を助けるため、窃盗団のドライバーに手を染めてしまった和正は、やがて事件に巻き込まれ、その混乱の最中に多聞は姿を消してしまう。
時は流れ、多聞は滋賀で悲しい秘密を抱えた女性・美羽のもとで過ごしていた。多聞と過ごすことで、徐々に平和な日常を取り戻してく美羽の前に、多聞の後を追ってきた和正が現れる。こうして2人と1匹の新たな生活が始まるが、痩せ細った身体で傷ついた人々に寄り添いながらも、たった一匹で<南の方角>に向かって歩いていく多聞には、ある1人の少年と誓った約束があった……。
映画『少年と犬』は、馳星周による同名小説を実写化した作品。震災で飼い主を亡くした1匹の犬・多聞(たもん)と様々な背景を抱えた人々の触れ合いを感動的に描き出す。高橋文哉と西野七瀬がW主演。監督は瀬々敬久、企画・プロデュースは平野隆、脚本は林民夫が務め、映画『ラーゲリより愛を込めて』のチームが再集結する。