特別展「生誕270年 長沢芦雪 ─奇想の旅、天才絵師の全貌─」が、大阪中之島美術館にて、2023年10月7日(土)から12月3日(日)まで開催される。その後、2024年2月6日(火)から3月31日(日)まで、福岡の九州国立博物館に巡回する。
長沢芦雪(ながさわ ろせつ)は、江戸時代中期の京都で活躍した画家であり、伊藤若冲や曽我蕭白とともに「奇想の絵師」のひとりとして知られている。当時、京都画壇の中心的存在であった円山応挙に師事した芦雪は、優れた描写力のみならず、奇抜な着想と大胆な構図による作品を手がけ、独自の画風を展開した。
特別展「生誕270年 長沢芦雪 ─奇想の旅、天才絵師の全貌─」は、大阪初となる芦雪の回顧展。日本国内にある芦雪の代表作や初公開作品など、重要文化財4件を含む約100件を一堂に集め、初期から晩年に至る画業を紹介する。
宝暦4年(1754年)に生まれた芦雪は、写生を重視した円山応挙に入門。応挙の技法を忠実に受け継ぐ作品を手がける一方、早い時期から独自の作風を模索し、一門のなかで頭角を現すようになった。本展の序盤では、《牡丹孔雀図》や《梅花双狗図》をはじめ、応挙の写実的な画風からの影響の色濃い初期の作品を目にすることができる。
天明6年(1786年)10月頃から翌年2月にかけて、芦雪は師・応挙の代理で紀南地方(現・和歌山県南部)に赴き、無量寺をはじめとする寺院の襖絵を制作。これらの作品は、それまでの緻密な写実描写とは異なり、奔放な筆遣いと大胆な構図を示している。会場では、紀南に赴く直前に描いた《龍図襖》や、紀南滞在中に制作した代表作《龍・虎図襖》など、芦雪が得意とした大画面の襖絵の数々を展示する。
紀南滞在後の芦雪は、大火で消失した御所の襖絵制作などに携わるばかりでなく、奈良や広島でも制作を行なっている。本展の後半では、《降雪狗児図》や《岩浪群鳥図襖》、《富士越鶴図》など、大胆な構図と斬新なクローズアップ、そして愛嬌あふれる動物や人物の描写に特徴付けられる芦雪40代の作品を紹介する。
芦雪が生きた18世紀の京都では、師の応挙ばかりでなく、伊藤若冲や曽我蕭白といった個性的な画家が活躍している。会場では、若冲の《象と鯨図屏風》をはじめ、応挙、若冲、蕭白の作品も目にすることができる。
特別展「生誕270年 長沢芦雪 ─奇想の旅、天才絵師の全貌─」
会期:2023年10月7日(土)〜12月3日(日) 会期中に展示替えあり
[前期 10月7日(土)〜11月5日(日) / 後期 11月7日(火)~12月3日(日)]
※上記日程以外にも展示替えあり
会場:大阪中之島美術館 4F展示室
住所:大阪府大阪市北区中之島4-3-1
開場時間:10:00〜17:00(入場は16:30まで)
休館日:月曜日(10月9日(月・祝)のぞく)、10月10日(火)
観覧料:一般 1,800円(1,600円)、高校・大学生 1,100円(900円)、小・中学生 500円(300円)
※( )内は前売および20名以上の団体料金
※前売券は、7月7日(金)10:00から10月6日(金)まで販売
※障がい者手帳などの所持者(介護者1名含む)は当日料金の半額
■巡回情報
・九州国立博物館
会期:2024年2月6日(火)〜3月31日(日)
住所:福岡県太宰府市石坂4-7-2
※大阪会場と福岡会場では、出品作品が一部異なる
【問い合わせ先】
大阪市総合コールセンター
TEL:06-4301-7285(年中無休 / 受付時間 8:00〜21:00)