ダイアン・フォン・ファステンバーグ(DIANE von FURSTENBERG)、ドナテラ・ヴェルサーチ(Donatella Versace)、ヴィクトリア・ベッカム(Victoria Beckham)といったデザイナーや、イタリア版ヴォーグ編集長フランカ・ソッツァーニ(Franca Sozzani)や、Style.comの総合監修者であるティム・ブランクス(Tim Blanks)らが、最終審査を務めたコンテスト「インターナショナル・ウールマーク賞」。クリスチャン・ワイナンツは、2013年に世界のトップに輝いた。
受賞を果たした、2013-14年秋冬コレクションについて教えてください。
このコレクションのために、かなりの時間を費やしました。ニットウェアはとても自然な形で、丸みを帯びていて、さなぎのような雰囲気が特徴。それは心地よさのシンボルのようなものですね。
私にとってウールを象徴するのは、このようなイメージです。ウールマークのロゴも丸くてグラフィカルで、似たような形をしているでしょう?
ウールに対するオマージュを、コレクションで表現するのは良いかと思ったのです。コレクションはすべて同じ毛糸でできていて、1種類の毛糸が1着の服になっています。
いつくかのピースは、最初は1本の毛糸から編まれ、途中で2本、3本と糸を足し、徐々にボリュームを出していったものもあります。
このときのコレクションにおいて、すべてのピースに1種類の白い毛糸しか使わない、ということは良いチャレンジになると思いました。
クリスチャン ワイナンツ 2013-14年秋冬コレクション より
審査員からはどのようなコメントをもらいましたか?
このコンペティションでは、2つの部門に分かれていました。1つ目はヨーロッパ部門で、そこにはランバン(LANVIN)のデザイナー、アルベール・エルバス(Alber Elbaz)もいました。彼は、私が発表した2013‐14年秋冬コレクションのタイダイのニットにとても注目してくれて、服の構造がどのようになっているのか、強い興味を示していました。
アルベール・エルバスはとても面白いコメントをしてくれたのを、覚えています。「もし私が女性になれたら、この服がどうなっているのか、どんな肌触りなのか、実際に袖を通して確かめたい」と言ってくれました。
ヨー ロッパ部門を通過したあとは世界部門で、そこではドナテラ・ヴェルサーチ(Donatella Versace)やヴィクトリア・ベッカム(Victoria Beckham)らが審査員を務めていました。ドナテラもヴィクトリアも、コレクションの中でそれぞれお気に入りのルックがあったようで、彼女たちもポジティブなコメントを残してくれました。ヴィクトリアは同じタイダイニットのルックについて、「フェミニンでセクシー」と言っていましたね。
(c) INTERNATIONAL WOOLMARK PRIZE
コレクションでは、タイダイのニットウェアが目立っていましたね。
これらのハンドニットウェアの原点は、日本の技術である「絞り」です。生地を織って、圧して、木などの自然の色を出しました。
はじめニットは真っ白で、その後自分たちでいろんな形に折りたたみ、まず1色で染め、それから別の色で染め、と作業していきます。このプロセスは非常に時間を要しますし、また難しい工程でもあります。
ニットウェアのデザインは、もともと得意だったんですか?
私は、学生の頃からニットデザインが好きでした。アントワープ王立芸術アカデミーを卒業した後は、ドリス ヴァン ノッテンの下でニットデザイナーとして働きました。そこでいろんなニットウェアのプロジェクト携わったり、他のブランドでもニットウェアのコンサルティングを行ったりしていました。ですから私はずっとニットが好きでしたね。
クリスチャン・ワイナンツが紹介されている書籍 『Fashion Knitwear』 著・Jenny Udale
※代官山 蔦屋書店で発売中。