蜷川実花による過去最大の展覧会「蜷川実花展 Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠」が、東京・虎ノ門ヒルズ ステーションタワー内の「TOKYO NODE(東京 ノード)」にて、2023年12月5日(火)から2024年2月25日(日)まで開催される。
写真を中心に、映像、映画、空間インスタレーションなど幅広いジャンルで活躍する蜷川実花(にながわ みか)。近年は、データサイエンティストの宮田裕章(みやた ひろあき)、セットデザイナーのEnzo(えんぞ)らとともに、プロジェクトごとに多様なチームを編成するクリエイティブチーム「EiM(エイム)」としても活動している。
今回開催される「蜷川実花展 Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠」は、建築家の藤本壮介らをゲストアーティストに迎え、蜷川が「EiM」の集大成として臨む、自身最大規模の“体験型”展覧会。蜷川としては初めて写真の作品は展示しておらず、本展のために制作した映像インスタレーションや、「TOKYO NODE」の広大なギャラリースペースを活かした立体展示などが核となっている。
何といっても本展の魅力は、自らが作品の一部となるような“未知の没入体験”ができる点だろう。人が識別できる最大数と言われている100万色もの色を表現した作品は、“まるで桃源郷”のように幻想的で華やか。一歩足を踏み入れると、地上約200mのギャラリーに差す外光をも取り入れた“光彩色の世界”を全身で楽しめる。
香りが体験できる空間や、包み込まれるようなクッションに座って体験する空間があり、五感で世界観を体感できるのもポイント。また11作品すべてに音楽が付いており、全作品群を体験することで、1つの映画を見たようなストーリー展開を楽しむことができる。
本展に出品される作品は、いずれも新作。作品のモチーフとなる花々や金魚、都市などの映像はCGで制作したものではなく、全て現実世界から切り取ったもので、日常のなかにある儚いものを作品へと昇華している。
ここからは、実際に会場で展示される作品を一部ピックアップして紹介。見どころを具体的にレポートするので、ぜひチェックしてみてほしい。
最大の目玉となるのは、360°全方向にデジタル映像を映し出した巨大なドーム型シアターの中で、“究極の没入感”を味わえる空間展示《Flashing before our eyes》だ。表現したのは、無意識の中に沈んでいく中で、意識を取り戻し再び目覚めるまでのイメージ。蜷川の代表的なモチーフである金魚や都市、花々の映像が走馬灯のように切り替わり、幻覚の中に漂っているような心地へと誘う。夜になるとスクリーンが開き、映像が夜景に溶けていくのも美しい。
《Intersecting Future》は、上下左右に色とりどりの花が咲き誇る、“まるで桃源郷”のような空間体験型展示。一歩中へ足を踏み入れると、夢の中にいるような、非現実的な気分を体感できる。揺れ動くライティングによって、朝の陽光を感じたり、夜の静けさを感じたりと、異なるムードを楽しめるのもポイント。場所によって、異なる香りが漂っているので、小径を進みながら香りにも注目してみてほしい。