開館15周年記念展「山王美術館コレクションでつづる 印象派展」が、大阪の山王美術館にて、2024年3月1日(金)から7月29日(月)まで開催される。
19世紀末のパリでは、神話や聖書を題材とする「歴史画」があくまで優位であり、伝統的な技法を遵守するアカデミスム絵画がいまだ主流であった。作品を発表しようにも、当時はサロンへ入選しなければならなかった。
そこで登場したのが、「印象派」と称される画家のグループだ。既存の美術制度や古典的な絵画の技法や価値観を越え、自由で新しい絵画の在り方を模索したクールベやマネ、バルビゾン派に影響を受けたクロード・モネやピエール=オーギュスト・ルノワールらは、ルネサンス以来の西洋絵画における色彩の概念を根底から覆していくことになる。
展覧会「山王美術館コレクションでつづる 印象派展」では、山王美術館のコレクションから印象派を中心に、フランス絵画において大きな変革を起こした画家たちの作品を紹介。近年収蔵した絵画10点も初公開される。
会場では、フランス絵画の印象派の先駆者ともいえるバルビゾン派のジャン=バティスト=カミーユ・コロー、ジャン=フランソワ・ミレー、レアリスムを代表するクールベから、印象派の中心的存在として活躍したアルフレッド・シスレー、モネ、ルノワール、エドガー・ドガ、さらにはポスト印象派とも称されるポール・ゴーガンらの絵画約30点を展示する。
第1章「印象派の先駆者たち」では、モネやルノワールが登場する前、19世紀にレアリスム、バルビゾン派など新たな芸術を構築したクールベやミレーらに着目。身近な農民や労働者層を主に描き、現実を美化することなく身近な現実をありのままに描いたクールベによる《オルナン地方の滝》や、徹底的に自然を観察し戸外でのスケッチを行ったミレーの《鶏に餌をやる女》などが展示される。
第2章「印象派の画家たち」では、印象派において中心的な存在となった画家たちに注目。当時サロンに出品して受賞しなければ、芸術家として成功できなかったことに不満を抱いたモネやルノワールらは、1874年にサロンから独立したグループ展を開催。印象派展と呼ばれるこのグループ展は、印象派以後のフランス絵画の潮流形成にもつながった。
彼らの表現技法は、写実主義を継承しつつ、外光のもとで制作し筆触をあえて残す“筆触分割”の技法を用いたもので、当時は革新的、前衛的すぎると批判された。本展では、ルノワール《読書(赤とローズのブラウスを着た二人の女性)》やドガ《入浴のあと》といった作品を見ることができる。
最終章となる第3章「印象派をこえて」では、印象主義を継承しつつも、より発展させた画家、または批判的に新たな表現を模索した画家たちに光を当てる。印象主義への批判的姿勢から総合主義を確立したゴーガン、象徴主義へと至ったオディロン・ルドンらポスト印象派と称される画家たちの作品を紹介する。
開館15周年記念展「山王美術館コレクションでつづる 印象派展」
会期:2024年3月1日(金)~7月29日(月)
会場:山王美術館
住所:大阪府大阪市中央区城見2-2-27
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30)
休館日:火曜日・水曜日(ただし3月20日(水)は開館)
入館料:一般 1,300円、大学・高校生 800円、中学生以下 500円(保護者同伴に限り2名まで無料)
※学生料金は学生証を提示すること。
※会期中、5F・3Fの常設展もあわせて鑑賞可能。
【問い合わせ先】
TEL:06-6942-1117