展覧会「珠玉の東京富士美術館コレクション 西洋絵画の400年」が、静岡市美術館にて、2024年7月26日(金)から9月23日(月・祝)まで開催される。
国内外の絵画、版画、彫刻など、約3万点の作品を収蔵する東京富士美術館。とりわけ、その西洋絵画コレクションは、16世紀のイタリア・ルネサンスから20世紀の近現代美術までを網羅し、日本国内屈指の規模を誇っている。
展覧会「珠玉の東京富士美術館コレクション 西洋絵画の400年」では、東京富士美術館の所蔵品から選りすぐった作品を通して、約400年にわたる西洋絵画の展開を紹介。ティントレット、アントニー・ヴァン・ダイク、クロード・ロランといった古典絵画の巨匠から、クロード・モネ、ピエール=オーギュスト・ルノワール、ルネ・マグリットをはじめとする近代画家まで、約80点の作品を展示する。
伝統的な西洋美術では、神話画や宗教画を重視するといったように、絵画のジャンルに明確なヒエラルキーがあった。もっとも高尚であるとされたのが、神話・歴史・宗教を題材とする歴史画である。その下に、高貴な人々を表した肖像画、庶民の暮らしに取材した風俗画、田舎や都市の景観を描いた風景画が続き、果実や花、食器などを描く静物画が最下位に位置付けられた。その背景には、芸術を精神的な活動として職人的な手仕事とは区別し、知識と教養が求められる主題を重んじるという芸術観があった。
本展の前半では、ジャンルの序列が重視された、16〜19世紀の絵画に着目。たとえば歴史画からは、優美なロココ様式の神話画、ノエル=ニコラ・コワペルの《ヴィーナスの誕生》などを紹介する一方、風景画では、ありのままの自然を描いたサロモン・ファン・ロイスダールの《宿の前での休息》、理想的な風景画の様式を確立したロランの初期作品《小川のある森の風景》などを展示する。
近代は、芸術にまつわる伝統的な価値観が次々と覆された時代であった。内容面では、たとえば19世紀の写実主義の画家は、農民や労働者といった身近なモチーフをありのままに描き、20世紀には、夢や無意識の世界を表現しようとするシュルレアリスムが登場している。一方、造形面では、絵画という2次元平面に3次元の現実世界を再現しようとする伝統から離れて、色彩や形態、筆触など、平面ならではの造形的要素が関心の主眼となっていった。
会場の後半では、19〜20世紀の美術を取り上げ、この時期の美術界を牽引したフランスの動向を中心に紹介。印象派を代表するモネの《睡蓮》をはじめ、ルノワールの《赤い服の女》、マグリット《再開》などの作品を通して、内容と造形という両面から近代美術の革新性をひもといてゆく。
展覧会「珠玉の東京富士美術館コレクション 西洋絵画の400年」
会期:2024年7月26日(金)〜9月23日(月・祝)
会場:静岡市美術館
住所:静岡県静岡市葵区紺屋町17-1 葵タワー 3F
開館時間:10:00〜19:00(入場は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は開館し、翌火曜日に休館。8月13日(火)は臨時開館)
観覧料:一般 1,400円(1,200円)、高校生・大学生・70歳以上 1,000円(800円)、中学生以下 無料
※( )内は前売および20名以上の団体料金
※障がい者手帳などの持参者および付添者(原則1名)は無料
※前売券は、6月8日(土)から7月25日(木)まで、静岡市美術館、セブンチケット(セブンコード 104-633)、ローソンチケット(Lコード 43679)、チケットぴあ(Pコード 686-854)ほかにて販売
【問い合わせ先】
静岡市美術館
TEL:054-273-1515(代表)