ターク(TAAKK)の2024年秋冬メンズコレクションが、2024年1月21日(日)、フランスのパリにて発表された。テーマは、「God is in the details amidst the cycle of grouth and creation」。
今季のタークのコンセプトには、2024年春夏シーズンと同じく、「神は細部に宿る」の言葉が含まれている。先シーズンのコレクションを記述するにあたって補助線を引いたとおり、これはしばしば近代を代表する建築家ミース・ファン・デル・ローエの言葉とされているものの、ドイツの美術史家アビ・ヴァールブルクがしばしば用いたものでもあった。
繰り返しを恐れずに説明するならば、フィレンツェのルネサンスを主な対象としたヴァールブルクにとって、風になびく長い髪や波打つドレスの裾など、「動く付帯物」と呼べる絵画の細部が、古典に生ける息吹を吹き込むものであった。そして、こうした細部こそ定型表現としての役割を担い、時代を通じて──時にその内に含む意味を変えつつ──執拗に用いられることになったのだった。
佇まいに動的な息吹をもたらす細部。今季のタークには、独自の素材の繊細さと、シルエットのダイナミックな大胆さの結合がある。たとえば、ボタニカル柄を透け感のある織りであらわした素材は、Aラインを描くロングジャケット用いられ、躍動するように揺らめく。柵状のデニムを組み合わせたロングコートも、バックに量感を取ることで、ダイナミックなシルエットを叶えた。また、アシンメトリックなフリルを施すなど、文字通り細部によってアクセントを添える例も見られる。
素材について付言すると、個性的なオリジナルのファブリックをベースとする、タークならではの豊かさがある。ラッフルのようにボリュームのある刺繍は、MA-1ブルゾンなどに。透け感のあるグリッド状の素材は、軽やかなシャツなどに。あるいは、テーラードジャケットからボンバージャケットへと移ろう、タークが得意とする移行の手法も健在だ。
自然の造形も、随所に見てとれる。ダブルコートやパンツには、凹凸感のある刺繍を用い、水の流れのように流麗な表情を。大胆な透かし模様をあらわしたニットはあたかも葉脈のようであり、ポロニットやロングコート、パンツなどのフォルムを踏襲しつつも、ニットの模様が際立つものとなっている。
カラーは、ブラックやグレー、ベージュなどを中心に、グリーン、マスタードなどを使用。また、光沢のあるシャツには流れるような色彩のグラフィックを施し、白シャツには花柄をズームアップで取り入れるなど、タークならではの大胆なプリントが随所に採用されている。