映画『国宝』が2025年6月6日(金)に公開される。主演は吉沢亮、共演は横浜流星。
「国宝」は、吉田修一が3年間歌舞伎の黒衣を纏い、楽屋に入った経験を活かして書き上げた長編小説。歌舞伎界を舞台とし、日本文学の伝統に脈々と流れる芸道小説の金字塔にして、吉田修一の最高傑作と言われる作品だ。2019年には、第69回芸術選奨文部科学大臣賞、第14回中央公論文芸賞をダブル受賞を果たしている。
主人公は、任侠の一門に生まれながらも、歌舞伎の世界に飛び込み、芸の道に青春を捧げ芝居だけに生きてきた喜久雄。喜久雄と、喜久雄が引き取られた家の跡取り息子・俊介は、生い立ちも才能も異なるライバルとして互いに高め合っていく。命を賭けてなお、見果てぬ夢を追い求めていく壮大な物語だ。
主演は、『キングダム』や『東京リベンジャーズ』、NHK大河ドラマ「青天を衝け」など話題作への出演が絶えない吉沢亮。主人公で歌舞伎の世界に飛び込む喜久雄を演じるにあたり、まずは真っ直ぐ歩くことから練習し、次にすり足、正座の仕方、扇子の持ち方、取り方など、基本動作を学んだ。撮影本番のギリギリまで歌舞伎の稽古に時間を割いたという。
映画『国宝』の重要な局面で登場する歌舞伎の指導は、2019年に紫綬褒章を授与された中村鴈治郎が務める。「国宝」執筆にあたり原作者の吉田修一が3年間にわたり黒衣経験を積んだ際も、中村鴈治郎のもとでその経験を培ったという。また、中村鴈治郎自身も劇中に出演しており、歌舞伎役者・吾妻千五郎役を演じている。
喜久雄…吉沢亮/少年時代...黒川想矢
任侠の家に生まれ、看板歌舞伎役者・花井半二郎の家に引き取られる。名もなき青年だったが、女形歌舞伎役者としての才能を開花。半二郎の当たり役である名作「曽根崎心中」のお初役に、跡取り息子の俊介を差し置いて抜擢される。
大垣俊介...横浜流星/少年時代...越山敬達
歌舞伎の名門、梨園の御曹司。主人公・喜久雄が引き取られた家の跡取り息子。生まれながら将来を約束され、芸の世界に生き、歌舞伎役者になることが運命づけられてきた。喜久雄の親友でありライバル。
花井半二郎...渡辺謙
上方歌舞伎の名門の当主で看板役者。俊介の父親。任侠の家に生まれた主人公・喜久雄を引き取り育て、女方としての才能をみいだす。
春江...高畑充希
喜久雄の幼馴染で恋人。喜久雄を追って長崎から上阪。人気役者になっていく喜久雄と俊介をそばで見守る。
大垣幸子...寺島しのぶ
花井半二郎の妻で俊介の母で、踊りの師匠。初めは喜久雄を引き取ることに反対するものの、才能に気付く。息子・俊介への愛が強く苦悩する。
小野川万菊...田中泯
歌舞伎界の稀代の女形といわれる人間国宝。喜久雄の人生に大きな影響を与える。
彰子...森七菜
歌舞伎役者の娘。喜久雄を兄のように慕いながらも恋心を抱く。歌舞伎役者である父親から勘当されてまでも喜久雄と一緒になることを望む。喜久雄にひたすら寄り添おうとするけなげな女性。
藤駒...見上愛
京都・花街の芸妓。喜久雄と初めて会った日に、自分の人生を賭ける覚悟を見せる、意志の強い女性。
立花権五郎...永瀬正敏
喜久雄の父親。長崎の任侠一門・立花組の親分。抗争によって命を落とすのだが、そのことが、喜久雄の人生を変える。
立花マツ...宮澤エマ
権五郎の後妻で喜久雄の継母。権五郎の死後、喜久雄の実の母親の遺言を守り、喜久雄が堅気の道にいくよう育てる。そして、喜久雄を大阪の花井家に送り出す。
梅木...嶋田久作
歌舞伎の興行を取り仕切る三友の社長。早くから喜久雄の才能を見込み、喜久雄と俊介の初舞台を仕掛ける。歌舞伎界で花開く二人の成長には欠かせない存在。
竹野...三浦貴大
三友の社員。世襲制の歌舞伎の世界で才能を開花していく喜久雄に複雑な思いを持つものの、長い間一緒に過ごし、喜久雄や俊介とともに成長していく、実直な男。喜久雄とともに時代を生きる。