ユミカツラ(Yumi Katsura)の「桂由美 追悼ショー YUMI -celebration of life-」が2024年8月9日(金)、帝国ホテル 東京「孔雀の間」にて発表された。
日本でウェディングドレスの着用に馴染みがなかった1964年から、日本初のブライダルファッションデザイナーとして59年間を駆け抜けた桂由美。「すべては花嫁のために」という信念のもと、常に新しいウェディング様式やドレスを提案し、今日では“ブライダルマザー”とも呼ばれている。
生前に「葬式の代わりにファッションショーをしてほしい」と言い続けていた桂の希望を叶えるべく、追悼ショーを開催。桂が深く共感していた楽曲「千の風になって」を秋川雅史が歌唱し、ショーは幕を開けた。ランウェイでは、桂由美が愛した珠玉の100着を称賛と追悼の意を込めて披露し、“新生ユミカツラ”クリエイティブチームへとその信念を引き継いでいく。
“妖精の羽”ことフェアリーフェザーの軽やかなドレスを纏った冨永愛のファーストルックの後、ユミカツラの25周年・50周年ショーにて演出された“花嫁誕生”の名シーンを再現。「1枚の白い布から花嫁は誕生するのです」の言葉通り、女神のように崇高な花嫁を見ることができた。
場面は、桂がいち早く取り入れた欧米式ウェディングパーティーに移ろい、淡いパープルカラーでコーディネートされた新郎新婦とともに、軽快にランウェイが進んでいく。
桂由美の代名詞ともいえる「ユミライン」のドレスが登場。大振袖のお引きずりスタイルをインスピレーション源に、体躯に沿ったシルエット美を描くドレスの数々は、今もなお世界中の花嫁に愛され続けている。孔雀を思わせるダイナミックな柄レースや、ビーズを敷き詰めた刺繍柄など、エレガントなルックが披露された。
洗練されたデザインとこだわりの素材による、上質なクチュールドレスも見逃せない。3ヶ月かけて1枚ずつ手縫いを施し、縫い目のないレース全体にミキモト(MIKIMOTO)のアコヤ真珠をあしらった“ギネス登録済”のドレスをはじめ、ゴールドの刺繍が目を惹くサテン生地のドレス、夫婦のアニバーサリーを祝う銀婚式にふさわしいシルバーグリッターの輝くドレスなどが勢ぞろいする。
イブニングドレスには、深海のグラデーションカラーを表現した「ユミライン」ドレスや、アンティークフラワーが咲き誇るドレス、ボリューム感のあるシルバーフォックスのオペラコートなどがラインナップ。“LED繊維で7色に光る”ローズのドレスも印象的だ。
また桂は、ウェディングドレスの普及による和装離れや、伝統的な着物の衰退を危惧していたという。日本の文化や美を守りたい一心で、和洋折衷のウェディングドレスやオーガンジー打掛を生み出した。たとえば、宮廷衣装である晴装束を現代風にアップデートした十二単や、縁起の良い亀甲文様をエレガントな色彩で織り上げた色打掛、シルクサテンとオーガンジーを用いたトレーン打掛など、多彩なラインナップが揃う。
さらに、バラの花びら1枚1枚を見事に表現したルックも象徴的。同じやわらかな素材を使用しながら、異なる表情を見せるドレスと打掛のコントラストに目を見張った。