チカ キサダ(Chika Kisada)の2025年春夏コレクションが、楽天ファッション・ウィーク東京期間中の2024年9月6日(金)に発表された。
会場が暗くなると、ひとりのチェロ奏者が登場。彼女は最初、ドクン、ドクンと一拍ずつ、まるで心臓が脈打つように弦を弾き、やがて荘厳な音楽を奏で始めた。
今季のチカ キサダは「酩酊」「陶酔」「夢中」といった意味を持つ「intoxication」がテーマ。ファーストルックでお目見えした花柄レースは今季を象徴するピースとしてその後も登場したほか、あどけなさを感じるピンク色のジャケット、真っ赤なチュールドレスなど、ロマンティックな気分を高めるワードローブを展開した。
ブランドの代名詞ともいえるチュール使いで目を引いたのは、チュールの装飾を斜めのラインで配したスタイル。アシンメトリーに切り替えを施し、ボリューミーかつ流れるようなフォルムにまとめている。
このチュール使いは、ドレスだけでなくベストにも採用。かっちりとしたベストから突如ふんわりとしたチュールに切り替え、素材に緩急をつけた。身体を螺旋状に覆うチュールは、まるで衣服を纏う者に魔法がかけられているかのような幻想的なムードを漂わせる。
ドレスのふんわりとしたシルエットを支えるクリノリンは、今季も“見せる”モチーフとして取り入れられ、アンダーウェアの形をそのまま残した装飾も見られた。反対に本来の役割を果たすようにインナーとしてクリノリンを仕込んだニットドレスでは、パープルの編み地からクリノリンを透けて見せていた。花の装飾や裾のフリンジによって優雅な印象に仕上げている。
チカ キサダとしては珍しい、デニムを採用したルックにも注目だ。青々としたデニムジャケットとトップスにあわせられたのは、センシュアルな肌見せを叶えるチュールボトムス。デニム製のベルトを締めることで、日常着として馴染みのあるデニムを得意のチュール使いによって女性的なスタイルに昇華した。