MSGM(エムエスジーエム)が、2016-17年秋冬メンズコレクションを発表。インスピレーション源となったのは、ニューヨークとベルリンで活躍するコンテンポラリーアーティスト、エリザベス・ペイトンである。
オイルペイントで無造作に色をのせて描く色鮮やかな彼女の作品には、痛快無比の良さがある。コミカルでありながら女性らしい繊細さも持ち、多くの人を魅了して止まない。
その良さを存分に味わえるワードローブは、シンプルながらもアーティスティックな一面をもつ。アーガイル柄には四角を縁取るように規則的に穴をあけたり、コートには前と後ろを横切るように大きく“M”の文字を配したり。ウールのニットはわざとヘムを解れさせ、毛羽立たせることでグランジの要素も織り交ぜている。
また、エナメルやツイード、カラフルなチェックのパターンなど、異素材の組み合わせを提案。オーバーサイズ気味のニットはルーズにタックインしたシャツを覗かせ、長めに設定されたベルトをアクセントとして垂らした。ユーモラスになりすぎないように、センタープレスを丁寧に施したスラックスで、クラシカルなエッセンスを加えてグッと引き締めている。
心躍る豊かなカラーパレットは、彼女の絵画と同じ。ベーシックカラーはもちろん、鮮やかなピンク、オレンジ、水色、それから紫がかったブルー。一方で、華やかに咲くデイジーの花は、わざとメランコリーな色を用いてトーンダウン。ジャージのようなスポーティーな型に、チェスターコートを羽織ることでしっとりまとめ上げた。
コレクションの中に見え隠れしたネコの姿も忘れてはならない。コミカルな演出にひとさじのスパイスを加える彼らの存在は、ワードローブを一層楽しいものへと変えた。