バレンシアガ(BALENCIAGA)の2017-18年秋冬メンズコレクションがフランス・パリで発表された。
テーマは「コーポレート ドレッシング(Corporate dressing)」。スーツを着る会社員、クリエイティブ業界の人々やプロフェッショナルな仕事をする人、スポーツ業界の人々など……世の中にある男性の仕事着に関する様々なカテゴリーからインスピレーションを得て、フォーマルからカジュアルまで様々な世代の人々のためのコンテンポラリーリアリティを構築したのが今回のコレクションだ。
仕事着と言えど、単純に連想させるものはなく、何かと何かを組み合わせているのが今季のスタイリングの特徴だ。かっちりとネクタイを締めたシャツにチェスターコートを羽織っているのに足元はなぜかモーターサイクルブーツ、街ゆく会社員をイメージさせるダブルブレストのスーツにショッピングバッグ風のレザートートなど、挙げればきりがないほど新鮮な違和感がある。
ただ、一見不規則な組み合わせにもメゾンの伝統は変わらず存在し続ける。クリストバル・バレンシアガがかつてモード界に革命を起こしたクチュールのシルエットが、デムナ・ヴァザリアの手によって現代のテーラリングシルエットへと変容。作業着を連想させるマウンテンパーカーやダウンジャケットは背中に緩やかなCのラインを描くシルエットでエレガンスを継承している。
そこに加わる新たなフォルム。例えば、レザージャケットは身頃が立体的な作りになっており、見たことのない硬質的なドレープ仕様。ボトムスは、オーバーサイズのウエストを中に仕込んだエラスティックバンドで予めシャーリングを寄せることにより、自然とタックパンツのようになるスポンテニアスなデザインだ。
また、今シーズンのポイントとしてポロシャツやダウンコートなどの胸元に“BALENCIAGA”のロゴが刻まれている。オーバサイズのコートにあしらわれたケリングの文字は、ブランドの新オフィスがパリのバレンシアガ本社と同敷地内にできたことに基づいている。
新たなプロポーションのテーラードジャケットに合わせたスーパーローカットのトラウザーズや、ウィットに富んだタイやシャツなどは、普段スーツを着ない人々への新たな提案。ディテールまで抜かりなく施された遊び心は、その想いから生まれているのかもしれない。