ヨシオクボ(yoshiokubo)は、2018年春夏コレクションをイタリア・フィレンツェで発表した。
ジョルジオ アルマーニ(Giorgio Armani)支援のプログラムで、昨シーズン、ミラノコレクションデビューを果たしたヨシオクボ。次なる舞台は、世界最大級のメンズプレタポルテの見本市ピッティ・ウォモだ。シーズンごとに直接的なインスピレーションを持たない、デザイナーの久保嘉男だが、今季は「テクノロジーとハンドクラフトのミックス」をキーワードに、新クリエーションを始動させた。
最新ピースは、ここ最近、久保が創作活動において大切にしている「美術工芸と衣服との組み合わせ」というアイデアが、大きな存在感を放っているように思う。
一つに色。同じ色でも透明感や光沢感を操り、まったく異なる表情を引き出している。ファーストルックのトップスや顔を覆ったフェイスアクセサリーは、水彩画のように淡く、反対にジャケット&パンツのセットアップは、油絵のように力強い発色。パンツを覆うように、同じ赤色のシースルーアイテムがレイヤードされ、何層にも重なった全体像は、新しい絵画の誕生のようにも見える。
そして、アート製作における手法も洋服にうまく取り入れていると感じた。総柄のボンバージャケットなどは、コラージュ作品かのように数種の色柄が組み合わされている。ストライプとドット柄をミックスしたトップスは、寄木細工のような佇まい。パンツの裾には、ペインティングでアクセントを加えている。
また、折り紙のように折り重ねて出来たジャケットは、テーラードのような上品さを持ちながら、肩からストールを巻いた民族衣装にも、前身頃にポケットのついたスキージャンパーにも見てとれ、芸術品同様、鑑賞するものに自由を与える。
細かいテクニックもそうだが、ワントーンコーディネートや全身総柄スタイルが続き、さらに、バブーシュ、顔を覆うストールといったユニークな小物も揃うため、コレクション全体が個性的なイメージにつながりやすい。しかし、よく観察すると、ハーフ丈のゴムパンツやクロップドパンツといった日常に溶け込みやすいアイテムが凝縮され、ベースはスポーティーなカジュアルスタイルであることがわかる。