特別展「デザインあ展 in YAMANASHI」が、2019年4月13日(土)から6月9日(日)まで山梨県立美術館にて開催される。
建物から商品、洋服、そしてインテリアまで。普段何気なく生活している中のあちこちに、「デザイン」は潜んでいる。NHK Eテレの番組「デザインあ」は、日常的なモノを「デザイン」の視点から見つめ直し、斬新な映像手法と音楽で、非日常的な美しい世界を味わえるプログラムだ。
本展は、そんな「デザインあ」のコンセプトを実際に体験できる展覧会。2018年7月には東京・お台場で「デザインあ展 in TOKYO」として開催された。
映像と音楽によるインスタレーションや、参加型作品を通して、普段映像でしか観ることができない番組の世界観を五感で体感できる。総合ディレクターを「明治おいしい牛乳」などの商品デザインを手がけるグラフィックデザイナーの佐藤 卓が務めるほか、映像ディレクターとしてインターフェースデザイナーの中村勇吾、音楽ディレクターとしてミュージシャンの小山田 圭吾が参加している。
展覧会は、身の回りにあるモノ・コトのデザインと生活の繋がりを、5つのテーマと3つのステップで展示する「観察のへや」、展示室の四方の壁面いっぱいに360°映像を映し出す「体感のへや」、そして時の流れや人の動きなどに焦点を当てた「概念のへや」の3つの部屋で構成。それぞれの部屋では、参加クリエイターたちが趣向を凝らしたユニークな展示の数々が、来場者を楽しませてくれる。展示を一通り鑑賞した後は、きっと普段の景色が少し違って見える”デザインマインド”が育まれているだろう。
「観察のへや」では、「お弁当」「容器」「マーク」「なまえ」「からだ」の5つをテーマに、それぞれがデザインによってどのように人々と繋がっているかを教えてくれる。
身の回りにある様々なプロダクトを、マークを残し全て白く塗りつぶすことで、いかにマークが直感的に情報を伝達してくれるかを体感する「マークだけの群れ」や、4種類の弁当に焦点を当て、それぞれに使われる食材本来の姿をその延長線上に並べた「つめられたもの」など、本展の中でも特に、デザインを身近に感じられる展示が揃っている。中には、巨大な弁当箱の中に自分の頭を入れる事で、梅干しの気持ちを味わうというユニークな作品「梅干しのきもち」も。
「体感のへや」には、番組オリジナルソングや、音楽とシンクロする映像を展示室の四方の壁面いっぱいに360°投影。音楽に合わせて次々と移り替わっていく映像や、フューチャリスティックなサウンドとスタイリッシュにリンクするグラフィックなど、目と耳をフルに使った全方位型のダイナミックな展示となっている。
最後の「概念のへや」は、「くうかん」「じかん」「しくみ」の3つのテーマで構成。例えば「くうかんパラメーター」は、“ちいさい - おおきい”、“ちかい - とおい”、“みじかい - ながい“など、5つのパラメーターを来場者が調整することで、建物の一室の中を描いたアニメーション風のグラフィックがリアルタイムに変化するというもの。
パラメーターの変更に伴って、部屋の中にいる人々の人数が増えたり、部屋の奥行きが長くなったり、あるいは視点自体が建物全体を捉えるものに変わったりと、視覚上のちょっとした変化だけで、私たちが認識する空間の印象がまるっきり違ったものになる、ということを体感出来る。