「BENTO おべんとう展―食べる・集う・つながるデザイン」が、2018年7月21日(土)から10月8日(月・祝)まで、東京都美術館 ギャラリーA・B・Cにて開催される。
「BENTO おべんとう展―食べる・集う・つながるデザイン」展は、日本独自の食文化であり、人と人とをつなぐ役割を果たしてきた「おべんとう」をコミュニケーション・デザインの視点から捉えた展覧会だ。会場には現代の作家たちによるインスタレーション、来場者自身が見る・聞く・触れることができる参加体験型のコンテンツなどが用意されている。
展覧会は、発酵デザイナー・小倉ヒラクのお弁当をテーマとした新作アニメーションからスタートする。親しみやすいキャラクター、口ずさみやすいメロディ、歌詞、振り付けが、観る者をお弁当の世界へと誘ってくれる。
「BENTO おべんとう展―食べる・集う・つながるデザイン」展が、数多くある展覧会と異なるところは、来場者自らが作品の中に入ったり、作品を創ったりすることで、会場の作品群に深みを与えていくということ。子供から大人までが楽しめる展示作品は、何気ない日常から見つけたものばかりで、それは全て“アート”なのだと気づかせてくれる展覧会でもある。
食べることをデザインするイーティング・デザイナーのマライエ・フォーゲルサングの作品《intangible bento》は、音声ガイド「精霊フォン」で“お弁当の精霊”の声を聞きながら、いくつかのブースを進んでいく体験型インスタレーションだ。
各ブースでは、食を通じた人と人との繋がりやお弁当の過去と未来などのストーリーを聞くだけでなく、ほのかに香る匂いや自ら作品を創造することによって、お弁当の「触ることや見ることができない」側面を感じられる。
美術家・小山田徹による《お父ちゃん弁当》は、自身が家族と一緒に実践しているお弁当づくりをアーカイブしたもの。保育園に通う弟のために、小学生の姉がお弁当の指示書を書き、父親である小山田がその通りにおかずを調理し弁当箱に詰めるという。
微笑ましい一家のやりとりが垣間見える作品のなかには、弁当にアートのように描かれた桜島の噴火、蛇行する川、三日月湖といったモチーフがあり、夜寝る前に読んだ本や散歩の時に見つけた植物や虫にインスピレーションを得たデザインも展示されている。
なお、小山田の作品と並んで森内康博による映像作品も公開しており、中学生が自分でお弁当を作る姿を捉えたドキュメンタリー映像を、お弁当箱型のスクリーンに映して紹介。この場所では、お弁当を起点に自分と身の回りの世界の関係について、再考することができそうだ。
お弁当を「箱」と「布」によって自由にコミュニケーション空間を生み出せるツールだと考える北澤潤が制作したのは《FRAGMENTS PASSAGEーおすそわけ横丁》。3区画に分かれた大掛かりな作品の中、まず入口には、様々な人に協力してもらい集めた、雑貨や日用品、お土産など“おすそわけ”の品をまるで異国のマーケットのような空間が広がる。