左)会田 誠 《滝の絵》 2007-10年 キャンバス、アクリル絵具 439×272 cm 国立国際美術館蔵、大阪 Courtesy: Mizuma Art Gallery
右)会田 誠 《切腹女子高生》 2002年 透明フィルムに出力、ホログラムフィルム、アクリル絵具、鳩目金具 119×84.7 cm 渡井康之氏蔵 Courtesy: Mizuma Art Gallery
2012年11月17日(土)より、東京・六本木の森美術館で「会田誠展:天才でごめんなさい」が開催される。現代美術界の奇才、会田誠にとって、世界初の大規模個展となる。
1990 年代初頭のデビューから、美少女、戦争、漫画、サラリーマンなどを題材に、日本の近現代社会をシニカルに捉えた鮮烈な作品を発表し続けてきた会田。彼の作 品は、日本社会が無意識に共有してきた常識や慣習などを覆し、隠蔽されてきたタブーやコンプレックス、本音や矛盾を生々しく描き出すため、見る者に強烈な 不快感と同時に爽快感を与える。そのきわどく刺激の強い表現のため、彼の作品はその高い評価にもかかわらず、これまで美術館での大規模な個展は開催されてこなかった。
会田 誠 《スペース・ウンコ》 1998年 パネル、綿布、アクリル下地、油絵具 230×330 cm 個人蔵 Courtesy: Mizuma Art Gallery
デビュー以来20年、極めて幅広い題材や技法を取り入れ、そのスタイルも七変化。さらに、日本固有の社会や歴史、美術史に言及した複雑な文脈をもつ作品も多い会田は、国際的な理解への翻訳が困難な作家でもある。本展では、そんな彼の初期の代表作から日本未公開作品4点、最新作7点以上を含む約100点を通して、会田誠の全貌に迫る。作品それぞれを社会的、美術史的文脈から読み解くことで、複雑で多面的な会田の世界観が、日本社会の縮図としても見えてくるだろう。
また、会田にとって日本の美術界への実質的なデビュー作であり、エログロ作家と呼ばれる原因にもなったという《巨大フジ隊員V S キングギドラ》(1993年)や、日本中を震撼させた連続幼女誘拐殺人事件と期せずして同時期に制作されていた「犬(雪月花)」シリーズ(1989年~)などを含む、性的描写や残虐性の強い作品も「18禁部屋」(仮称)で展示する。
さらに、会場には2008年以降、国内の美術大学等で学生たちと続けてきた、使用済みの段ボールでゴシック教会の祭壇彫刻のようなレリーフを制作するワークショップ「モニュメント・フォー・ナッシングII」も登場。その成果が集結し、鑑賞者も参加できる公開ワークショップを期間中も続けることで最終日のプロジェクト完結を目指す。本プロジェクトは、一般の個人からも広く資金支援を募り、サポーターと一緒に展覧会を盛り上げる新しい取り組み「会田誠:平成勧進プロジェク」を実施中。
【展覧会概要】
「会田誠展:天才でごめんなさい」
会場:森美術館
住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階
会期:2012年11月17日(土)~2013年3月31日(日) ※会期中無休
開館時間:10:00~22:00 / 火曜日 10:00~17:00
※2013年1月1日(火・祝)は22:00まで
※いずれも入館は閉館時間の30 分前まで
入館料:一般1,500円、高校・大学生 1,000円、子ども(4歳~中学生) 500円 ※税込
※本展のチケットで「MAMプロジェクト018:山城知佳子」展、展望台 東京シティビューにも入館可(スカイデッキを除く)
問い合わせ先TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
主催:森美術館
企画:片岡真実(森美術館チーフ・キュレーター)
【アーティストプロフィール】
会田 誠(Makoto Aida)
1965年新潟県生まれ。1991年東京藝術大学大学院美術研究科修了。ミヅマアートギャラリーでの個展を中心に国内外の展覧会に多数参加。主な展覧会に「六本木クロッシング: 日本美術の新しい展望」(森美術館、2004年)、「第1回シンガポール・ビエンナーレ:BELIEF」(シンガポール、2006年)、「バイバイキティ!!!天国と地獄のはざまで–日本現代アートの今」(ジャパン・ソサエティ、ニューヨーク、2011年)、「第1回キエフ・ビエンナーレ」(ウクライナ、2012年)など。