クリスチャン・ベールさんは、体重の増減など外見的な役作りを含めて、各作品でまるで違う人物かのように役に入り込む印象があります。演技の際に、何か心がけていることはあるのでしょうか。
私は、専門的に演技を勉強したことがありません。私がやっているのは、“(役の)フリすることだけ”。役者としてキャラクターにどう向き合うかについての主張はなくて、それぞれの作品で、毎度試行錯誤をするようにしています。確実なテクニックは持っていません。
そうやって演技を始めたのに、まだ今も続いているというのは面白いですよね。
まだ仕事をもらえているということは、このやり方で合っているのだと思います。少なくとも私にとっては。
そんな中でも、これは役作りに効果的だというアプローチはありますか。
私が初めて仕事をした人、ローワン・アトキンソンから教えてもらったことがあります。教えてもらったのは、ローワンが「Mr. Bean」を演じる前、ロンドンで一緒に『Nerd』というお芝居をしていた時のことです。
挨拶や軽い会話程度で、ローワンときちんとした形で話したことはありませんでしたが、彼が、演じるキャラクターになっていく姿を目の前で見ることができました。そして、ローワンは、現場の中でずっとそのキャラクターのまま。僕は、それを見て「これはすごく楽しそうだ」と感じたのです。
映画の現場でそれをどうやればいいのか、また他人に嫌な思いをさせずにやるにはどうすればいいのかを探るのには時間がかかりましたが、彼からは大きな影響を与えてもらいました。
役者としての理想像はありますか。
撮影クルーにもきちんと協力できる“動物と子供”になる。というのが理想かな(笑)。
私は、動物や子供との共演が好きです。もちろん、大人と違って思い通りにならない部分もありますし、最悪の状況になることもありますが、うまくいった場合は、ほかの何よりも素晴らしいものができたと思えます。
だって、子供や動物が発信するものは真実だから。彼らを見ていると、無意識のうちに魅了されてしまう。そんな役者になることが、理想だと思っています。
アカデミー賞の前哨戦としても知られるゴールデン・ローブ賞においては最多6部門にノミネートされ、主人公を演じたクリスチャン・ベールがミュージカル・コメディ部門の主演男優賞を受賞した。
また、第91回アカデミー賞においては、作品賞はじめ、監督賞(アダム・マッケイ)、主演男優賞(クリスチャン・ベール)、助演男優賞(サム・ロックウェル)、助演女優賞(エイミー・アダムス)、脚本賞(アダム・マッケイ)、編集賞、メイクアップ・ヘアスタイリング賞の8部門にノミネート。アカデミーメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞している。
映画『バイス』
公開日:2019年4月5日(金)
監督・脚本:アダム・マッケイ
出演:リスチャン・ベール、エイミー・アダムス、スティーヴ・カレル、サム・ロックウェル
原題:VICE
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