グッチ(GUCCI)の2019-20年秋冬コレクションが、ミラノ・ファッション・ウィーク初日の2019年2月20日(水)に発表された。今季もウィメンズ・メンズの合同ショーである。
前シーズンはホームタウンのミラノを飛び出し、フランス・パリの歴史あるシアターでコレクション発表を行ったグッチ。2019年春夏コレクションをもって、プレフォール、リゾートと続いた、フランスへのオマージュを捧げる三部作が完結したこともあり、会場を再び巨大なグッチ本社に戻しての新章の幕開けに注目が集まっていた。
今シーズンのインビテーションは、大きな木箱。蓋を開けると、不可思議な仮面が現れる。アレッサンドロ・ミケーレ率いるグッチが、今度はどんな世界を作り上げるのか…。期待が高まる中、会場で手渡されたコレクションノートを読み解くと、今季のキーワードは、やはりマスク=仮面であるらしい。ノートの冒頭には「THE MASK AS A CUT BETWEEN VISIBLE AND INVISIBLE」と綴られている。
マスクは自らを隠すものであるが、なりたい自分を演習してくれるものでもある。そんなミケーレからのメッセージを代弁するかのように、ランウェイに登場したモデルたちは各々に顔や目元を覆い隠す個性的なマスクを着用している。
クリエーションの姿勢は変わらず異なる要素を掛け合わせる折衷主義であるが、アイテム自体はグッチロゴを散りばめたテーラードジャケットやセットアップスーツなどクラシカルなピースが主流。シャツにネクタイを締めたフォーマルな着こなしも、今季の特徴の1つと言って良いだろう。
ミケーレが好んで起用するキャッチーなモチーフは今季は控えめで、代わりに目を引いたのはパターンによるアプローチ。たとえばミケーレが生み出す世界に不可欠な動物たちも今シーズンはパイソン柄のブルゾンや、レオパード柄を取り入れたガウンコートなどに姿を変えている。
そんな中、ミケーレの折衷主義を加速させる役割を担ったのは小物類。クラシカルなハンドバッグがある一方で、アクティブなバックパックやスーツケースも登場。ハードなスタッズを施したチョーカーや、耳に被せるようなスタイルのイヤーアクセサリー、膝にあてたスポーティーなサポーターなども、存在感を放っていた。