イタリアの伝統的自動車メーカーである「Alfa Romeo(アルファ ロメオ)」の100周年と、同じくミラノにある名門カロッツェリア(ボディのデザインと製作の専門メーカー)である「Zagato(ザガート)」の創業90周年を記念し、世界でたった9台のみ生産・販売されるAlfa Romeo「TZ3 Stradale」。そのうちの1台を、コスチューム ナショナル(CoSTUME NATIONAL)のデザイナー、エンニョ・カパサがインテリアを手掛け、唯一無二のクルマが誕生した。
その待望の日本上陸に際し、カパサとザガートのチーフデザイナーである原田則彦がミラノより来日。インタビューにて、カパサ自身がその美しいデザインの秘密を語ってくれた。
「TZ3のインテリアをデザインできたことは、とても興味深い経験でした。アルファ ロメオが伝統的に持っているデザインに何かをプラスして新しいものをつくりたいと思いました」という言葉通り、アルファ ロメオの伝統であるアルミや革を使うアイディアを踏襲し、しかし形はモダンに仕上げられている。
そしてこの伝統と革新というテーマは、コスチューム ナショナルというブランドの根底に流れるスピリットでもある。「基本的な考え方がはすごく似ていると思います。今回は、シンプルとミニマルなつくりを意識してデザインしました。同時に、その中にどうやって強さを見せていくかが大きな課題でした」とカパサは語る。
何度も試乗を繰り返したという彼に実際の乗り心地を聞いてみると、すぐに「イイ感じでした」と日本語で返してくれた。「見た目が良いだけではなく、中の空間の居心地の良さも重視しました。狭い車内では、ひとつひとつのものごとに意識が集中することになるので、それぞれの要素の機能性と居心地を重視したのです。完成した車の乗り心地は想像していた通りで、素晴らしい気持になりました」
また、クルマは彼自身のクリエーションにとっても重要な要素。「ドライブ中にアイディア浮かんだりします。ドライブという旅の途中の雰囲気がすごく好きで、音楽をかけてゆったりとした気持ちになっているときにふとインスピレーションが浮かんで来るのです」と話す。
カパサのドライブのお供は80年代ロック。キングス・オブ・レオンやPJハービーなどがお気に入りなのだそう。「音楽はすごく大切なものです。そこから感情を磨いたり、感情の動きを体感できますから。デザイナーは常にアンテナを張っていろんな情報をキャッチしないといけないので、そうやって、ものごとから刺激を受けやすいように、インスパイアされやすいようにしていなければいけないのです」
先日発表されたばかりの2013年春夏メンズコレクションのショーのBGMもデヴィッド・ボウイだった。このコレクションは「サファリ」がテーマ。それについて、「このテーマは、旅をイメージしています。男性の冒険心であったり、サバイバルという要素を含んでいます。都会でのアドベンチャーという意味でのサファリです」と教えてくれた。
コスチューム ナショナルは香港や北京、そしてアメリカにも店舗を展開していく予定。「常にいろんなことに興味をもちながら、新しい分野のデザインにもチャレンジしていきたいと思います」と語るカパサの想いと共に、コスチューム ナショナルの冒険はこれからも世界を舞台に続いていく。
また、お披露目パーティーでは、TZ3をデザインしたZagato(ザガート)」のチーフデザイナーの原田則彦もトークショーでアルファ ロメオに対する熱い想いを語った。
「デザイナーという立場を超えて、アルファ ロメオの車の中には本当に魂を奪われるような、そのクルマを見つながらその周りを何回も周ったり、本物の自動車じゃないんじゃないか、生きてるんじゃないかと思うほど夢中になる車があります。デザインの中にある強い個性が人を惹きつける、小さな欠点さえもかわいらしく思えてしまうような、いいとか悪いとかいう判断を超えて心を奪われて好きになってしまうような車があるのです」
そんなふたりが手掛けたAlfa Romeo「TZ3 Stradale」は、2012年9月17日(月)まで、東京・青山のCoSTUME NATIONAL Aoyama Complexで披露されている。
■TZ3については、こちらの記事でチェック:
コスチューム ナショナルがインテリアを手がけた、世界に1台のアルファロメオ日本初公開
【TZ3展示情報】
期間:2012年8月31日(金)~9月17日(月) 11:00~19:00
会場:CoSTUME NATIONAL Aoyama Complex 1F
住所:東京都港区南青山5-4-30
TEL:03-4335-7772 (CN Japan)
URL:http://www.cnac.jp/