パラドックス・トーキョー(PARADOX TOKYO)の2019-20年秋冬コレクションが、2019年3月21日(木・祝)渋谷ヒカリエで発表された。今季もミューズとの合同ショーである。
共通テーマは、ファッションの本質を追求すること。思考を巡らしデザイナーが辿り着いたのは、洋服の下に眠る「肉体」にフォーカスを当てることで、内なる美をファッションを通じて発信する。
クリエーション探求の起点となる「肉体」。人間の身体の美しさを表現するため、昨シーズンに続き今季も日本体育大学とコラボレーションした。今季のテーマは、ボディビルダーなどが所属するバーベルクラブ出演のオープニングアクトにより視覚的に表現。
音楽とともにランウェイに舞い降りたのは、筋肉ムキムキの学生たち。盛り上がる胸筋、ふくらみのある上腕二頭筋。“ファッションショーとは似つかわしいない”パワフルな演出が、パラドックス・トーキョーの世界へ観客を引き込む。
「躍動感のあるコレクションにしたかった」ショー終了後にデザイナーからこぼれ落ちた“温度のある”フレーズ。日本体育大学との演出はもちろんだが、とにかくポジティブでリズミカルなコレクションピースからも既存の枠組みを超えたモードウェアを提案するパラドックス・トーキョーの姿勢が伝えられた。
ブルー、レッド、ピンク、オレンジ、グリーン。単体でエネルギーのあるカラーがランウェイを駆け巡り、自由気ままに混じり合っている。スポーツ、ストリート、ドレス、カジュアル、日頃は肩を並べていないテイスト同士が気ままに混じり合いアンビバレントな世界を築き上げる。
フレアなワンピースは、エレガントで女性らしいシルエットを保ちつつも、胸元にはスイムウェア・スポーツウェアさながらの大胆なロゴをオン。テキスタイルの上で咲くボタニカル模様もやや野性的で、ボディにフィットした伸縮素材がスポーティな雰囲気を助長する。
スタジアムジャンパーは、レッド×イエローのチアフルなカラーリングはそのままに色っぽく変形。身丈は胸のラインで大胆にカットされ、ギャザーを寄せることでフェミニンなピースに昇華している。
また、コレクションの中ではイギリス発祥の「アドミラル」の新ライン「アドミラルアスレチックス」とのコラボレーションウェアも展開。スポーツ・ファッション・ライフスタイルの枠を超えたクロスオーバーなピースとして、ロゴ入りのフーディコートなどを提案していた。
モデルの選定もジャンルの垣根を越えて、個性豊かなメンバーで。テニスプレイヤーの宇野真彩・佐藤久真莉、アイスホッケー日本代表パラアスリート堀江航、さらにドラッグクイーンの山田ホアニータがモデルとしてランウェイに登場している。