フラットな現場であることの良さとは何でしょうか。
竹内:映画やドラマのストーリーって、台本ではスラスラ読めますけど、文字をそのまま演技にしようとすると上手くいかないこともあって。サラっと終わらせることもできますが、せっかくやるなら時間をかけてでも1番いい形で終わらせたいじゃないですか。そのためには、フラットな環境で、演技について話し合うことが大切だと考えているんです。
撮影時間はもちろん限られていますが、それはどの現場も一緒。そんな裏の理由なんて、見て下さる人には関係ないですからね。できるだけ1シーンごとに会話できることが理想だと僕は思います。だから、ひとつひとつ話し合えた『初恋ロスタイム』は、今振り返ってもよかったなって思うし、本当に楽しかったですね。
『初恋ロスタイム』の役を演じる上で、難しいと感じられたことはありますか?
竹内:通常、原作のある作品は、ひとつひとつのセリフに対してどうしても難しさを感じてしまうのですが、『初恋ロスタイム』は、終始自然体で演じることができたと思います。
板垣:そうですよね。『初恋ロスタイム』は、心をこめてセリフを言えるシーンばかりでした。
原作のある作品の難しさはどのような部分ですか?
竹内:原作のある作品には、頭の中にある程度完成した想像や、決めゼリフみたいなものがありますよね。例えば、少女漫画だったら、キュンキュンさせようとする言葉があったりして。
原作にひっぱられすぎると、自分の言葉がそういった元のセリフの強さに負けてしまうことがあるんです。原作の先入観みたいなものを意識しすぎて、近づけようとすると、動きが硬くなってしまう気もします。
だから、原作があるからといって、キャラクターを演じるわけでなく、“1人の人間として演じる”ことを意識して、1つひとつのセリフに対して向き合うことを大切にしています。きちんと心からセリフを言えていれば、見ている方の頭にもスッと言葉が入るはずですから。それが原作のある作品の難しさだと思います。
すでにある架空のキャラクターではなく、新しい役として考えるということですね。
竹内: 全く別ものになるのはいけませんが、映画の『初恋ロスタイム』は原作ともまた少し違うストーリーでした。今回であれば孝司を演じている板垣君、時音を演じてる咲良ちゃんとして、色んなものにひっぱられずに、その役について自ら考える方がいいと思ってて。今回はそれができたんじゃないかなあと。
※ネタバレあり※
最後に、『初恋ロスタイム』は“胸キュン”なシーンがたくさんある作品ですが、板垣さん、吉柳さん、竹内さんの1番キュンとしたシーンを教えてください。
竹内:芝生で2人が寝てるシーン。あの距離感はドキドキするなあと思います。
板垣:あのシーン、いいですよね。あの日、青空が開いていてすごく気持ちいい天候で。あのシーンから、2人の距離が徐々に縮まってくというのもいいなって。出会って間もない人と恋に落ちていく、素敵な絵だったと思います。
竹内:あの距離感って、風で女性の匂いがふんわり香ってくるぐらいじゃないですか。それもいい。女性の香りって年頃の男性にとって新鮮ですからね(笑)。
いい匂いさせてた?咲良ちゃん。
板垣:させてましたよ(笑)。
吉柳:やめてください(笑)。
(笑)。板垣さんの好きなキュンとしたシーンはいかがですか?
板垣:僕は、お弁当で「ゴメンネ」を伝えるシーンです。伝え方っていろいろあるのに、仲直りするとき敢えてあの方法は選ばないなあと思って。それを選べる男になりたいなとも思いました。
吉柳:なかなか口で伝えるのってむずかしかったりしますよね。私も新しいなと思いました。
竹内:咲良ちゃんは、どこかキュンときたの?
吉柳:うーん、私はなんだろう…。あ!小指で約束ってするシーン!口で言うよりも、“約束”って感じがしていいなって。
板垣:確かに。最近やらないですね、これ。
竹内:やった方がいいよ。契(ちぎり)は交わした方がいいよ。
板垣:契(ちぎり)たいんだ?
吉柳:契(ちぎり)たいって何ですか(笑)。
主題歌は4ピースバンド・緑黄色社会が担当。『初恋ロスタイム』のために書き下ろした「想い人」で物語に彩りを添える。
なお監督は『俺物語!!』『チア☆ダン 女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話』など数々の青春映画を手がけてきた河合勇人が務める。
【詳細】
映画『初恋ロスタイム』
公開日:2019年9月20日(金)
出演:板垣瑞生、吉柳咲良、石橋杏奈、甲本雅裕、竹内涼真
監督:河合勇人
脚本:桑村さや香
原作:仁科裕貴「初恋ロスタイム」
配給:KADOKAWA