チノ(CINOH)の2020-21年秋冬ウィメンズ&メンズコレクションが、2020年2月7日(金)、ワールド 北青山ビルにて発表された。
“compatible(=調和・両立している)”をテーマに掲げた今季のチノ。しかしその調和は、均整とは異なるかもしれない。たとえば小柄な人が、いささか大きな衣服の袖を少しまくることで、自分らしい着こなしを楽しむ。そのように「衣服を自分に合わせていく」という要素を、ディテールへと落としこんだウェアを披露した。
特徴的なのは、レイヤード風のデザインだ。落ち着いたネイビーカラーのジャケットは、ややボックス型のクラシカルなシルエット。その左面には、レッドが目を惹く裏地風のパーツを重ねている。また、ダブルブレストで仕上げたウィメンズのチェスターコートやメンズのジャケットも同様に、片側の前身を二重に仕上げて豊かな表情を生みだした。
レイヤードとともに、左右非対称もキーワードの1つだ。ウィメンズのケーブルニットは、右肩から同色・同素材でロングカーディガン風のパーツをオン。ウエストのベルトを絞ることで、着る人が自分の身体に合わせて自由に着こなせるよう工夫している。
メンズでは、ジャケットのセットアップにひと工夫。一見、ゆったりとしたパンツに合わせたテーラードジャケットのルックに思えるものの、ジャケット自体はノーカラー、そして襟の部分はスラックスとツナギ状に作られている。カラーは落ち着いたグレーに、そして素材は上品な生地1種に統一することで、独特の構造を際立たせた。
着こなしでもレイヤードを強調。上品さの漂うグレージャケットのセットアップには、同色のタートルネックニットを合わせるとともに、袖口や裾からホワイトのブラウスをちらりとのぞかせた。リラックス感あるシルエットのスラックスも軽くロールアップし、裏地のネイビーで彩りを添えている。また、ネイビーのMA-1をベースにしたロングコートには、中にヴィヴィッドなオレンジカラーのトレンチコートとパンツをレイヤード。鮮やかなカラーコントラストを楽しんでいる。
用いた生地はデザインの引き立つ無地が中心であったものの、光沢感のあるベージュにネイビーのラインを引いたメンズのMA-1やシャツには、ペイズリー柄を控えめなトーンで載せた。また、ノーカラーブラウス型のロングワンピースには、レッドとブラックのチェッカーボード風パターンを採用。シースルーの生地に異なるサイズの長方形を組み合わせ、表情に変化をつけている。