映画『思い、思われ、ふり、ふられ』で主演を務める女優・浜辺美波にインタビュー。映画『君の膵臓をたべたい』で主演を演じ、第41回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞して以来、演技派女優として映画やドラマで数々の作品に参加。2020年には初の連続ドラマ主演を飾るなど、益々女優界での存在感を増している。
映画『思い、思われ、ふり、ふられ』は、偶然出会ったタイプの全く違う4人の高校生の複雑な恋愛を描いた物語。『アオハライド』『ストロボエッジ』といった名作少女漫画を生み出してきた咲坂伊緒原作の同名漫画が原作となっており、2020年9月18日(金)にはアニメ版映画も公開される。
浜辺が今回演じるのは、4人の主人公のうちの1人である、明るく社交的でありながら人知れず悩みや葛藤を抱える女子高生・朱里。内向的でうつむきがちな由奈、クールな理央、爽やかで天然な和臣の3人と共にストーリーの軸となる人物だ。
2019年に高校を卒業し、女優の道で生きる浜辺。そんな彼女が今、高校生の役を演じて感じたこととは?
初めて本作の脚本を読んだ時の感想を教えて下さい。
私自身、咲坂さんの作品が大好きなんです。
なので、脚本を初めて読んだ時には既に『思い、思われ、ふり、ふられ』の原作のストーリーを知っていて。脚本では、原作と同じように主役となる4人の高校生の青春が凝縮されていたので、映画としても凄く素敵な作品になるに違いないなと撮影が更に楽しみになりました。
実際に撮影現場に入った後、役を演じる上で気を付けた点があれば教えてください。
主人公が1人の作品だと、その主人公のバックグラウンドをある程度作品の中で描けるのですが、今回は4人が主役の物語なので、その分作品の中で1人に割かれる時間が多くない。
なので、与えられたシーンの中でいかに自分のキャラクターを表現できるかを試行錯誤しました。大げさになり過ぎず、限られた時間の中で、正確に人物像を伝えることってとても重要なことだと思うので。
映画の中では朱里の持つ気丈な側面や、悩み、葛藤などが浜辺さんの演技を通して鮮明に伝わってきました。
ありがとうございます。朱里って、人との距離の取り方だったり、人の痛みが分かったり、とにかく人付き合いが上手で器用な女の子ですよね。
私はどちらかというとその逆で、不器用な部分が多くて…。なので、登場人物の中で言うと、自分が演じていた朱里よりも、人付き合いを苦手に感じている由奈の方が、性格的には似ていたのかなと思います。(笑)
それは意外です(笑) 映画の中では、そんな他のキャラクターたちとの自然な掛け合いも印象的でした。
今回、撮影に入る前に監督から「朱里、理央、由奈、乾(和臣)はみんな同級生の役、特に朱里と理央は姉弟なので、普段からタメ口で会話して下さい。」という指示を頂いたので、年齢とか気にせずに常にタメ口で話すようになったんです。
そしたらすごく距離が縮まって、待ち時間とかもみんなで話をして過ごすうちに、役の間でも自然な演技が出来るようになりました。
実は、『君の膵臓をたべたい』で共演経験のある匠海くんとは、当時の役柄の関係性もあり、現場では敬語で会話数も少ない間柄だったので、微妙な距離感があったんです。でも、今回タメ口で話すようになって、その距離感も解消することが出来ました。
そんな北村匠海さんとは、今回浜辺さん自身初となるキスシーンもありましたね。
私自身の初キスシーンかつ理央から朱里へキスするシーンだったので、全て匠海くんにお任せしました。今までのお仕事の中でも印象的な作品『君の膵臓をたべたい』で共演した方と、時を超えて別の作品で、そして初のキスシーンの相手役ということで、匠海くんとは縁があるなと思います。
『思い、思われ、ふり、ふられ』という作品に携わって、思ったこと、感じたことを教えてください。
この作品から感じたのは青春のキラキラした感覚ですね。
恋愛はもちろんですが、恋愛に限らずに青春時代そのものの“かけがえのなさ”のようなものを感じました。映画の中で登場する、部活や放課後、文化祭といった時間は、学生時代だけ体験できる本当に特別な瞬間なんだなって、この作品に携わらせて頂いて改めて思いました。