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松本穂香にインタビュー“上手い”より“面白い”と言われる演技を、映画『みをつくし料理帖』で主演

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女優・松本穂香が、巨匠プロデューサー角川春樹の “生涯最後”の映画監督作品となる『みをつくし料理帖』で主演に挑む。演じるのは、天性の料理の才を見出され、江戸時代の女性でありながら料理人として働く、主人公・澪だ。

松本穂香 インタビュー|写真1

松本穂香は、2015年、主演短編映画『MY NAME』で女優デビュー。NHK連続テレビ小説『ひよっこ』で話題を集めると、2018年のドラマ『この世界の片隅に』で約3,000人の応募の中から見事主役を勝ち取り、ドラマ初主演を果たす。その後も出演作が後を絶たず、2020年は主演アニメ映画『君は彼方』の公開も控えている。

ドラマ、映画に引っ張りだこの若手女優、松本穂香。彼女が『みをつくし料理帖』での芝居を通じて感じたこととは?また彼女の人生にとって、演じることはどのような意味を持つのか。自然体でありながら芯の強さも伺わせる、彼女の女優業に対する“本音”に迫った。

映画『みをつくし料理帖』について

松本穂香 インタビュー|写真7

『みをつくし料理帖』で、主演のオファーを受けた時の気持ちを教えてください。

「本当に私で良いいのかな?」という気持ちでした。事務所の社長とマネージャーと一緒に、角川の本社に伺って、角川春樹さん本人からオファーを受けたんです。

角川さんと会うのは初めてでしたか。

はい。正直にお話すると、ご本人にお会いするまで事の重大さがわかっていませんでした。角川さんの代表作である『犬神家の一族』や『セーラー服と機関銃』をリアルタイムで見ていた世代では無いということもあり…。打ち合わせが進む中で、隣に座っている事務所の社長がものすごく緊張しているのが伝わってきて(笑)、「この方は相当すごい人なんだ…!」と実感しました。私も汗がとまらなくなり、動揺しっぱなしの打ち合わせでしたね。

相当なプレッシャーだったのですね。

そうですね。オファーをもらうのと同時に、出演者も聞いたのですが、錚々たるメンバーでびっくりしました。オファーの段階で、撮影用セットやスタジオなど、かなり具体的な内容も決まっていて驚きましたね。さらに角川さんの口から、「これを最後の作品にしたい」という言葉まででてきて、かなりのプレッシャーでした。

松本穂香 インタビュー|写真4

角川さんが、松本さんに主演をオファーした理由は何だったのでしょうか。

ドラマ『この世界の片隅に』での演技が目に留まったそうです。私の初主演ドラマだったのですが、恵まれない境遇の中でも弱音をはかず、前向きに一生懸命生きる演技が、ちょうど澪のイメージが重なったそうで。それから、私がゲストで出演した『世界ウルルン滞在記』も見てくれて、私自身にも澪のようなけなげさを感じとってくださったそうです。

実は、私にとって『みをつくし料理帖』は、初めての本格的な時代劇作品で。戸惑うことも多かったのですが、角川さんの期待に応える芝居ができていると良いです。

時代劇に挑戦するのは、初めてだったのですね。

お着物を着て、がっつり芝居をするのは初めての経験でした。お茶を出すという動作ひとつとっても難しかったです。先生に教えてもらい、何度も練習しました。

松本穂香 インタビュー|写真5

所作以外にも、時代劇と現代劇の違いを感じましたか。

所作だけでなく、台詞の言い回しも違いました。ゆっくり、はっきり言う方が、時代劇には合っているなと。現代のお芝居は、ナチュラルであればあるほど良いと思っているんですね。多少聞き取りにくくても、ぽんぽんと会話が進んでいるようなイメージというか。でも、時代劇はそのテンションでやると上手くいかない。

時代劇は、ゆっくり話すと上手くいくと。

ゆっくり話すことで、台詞をたてるイメージです。最近は、観客が見やすいように台詞や演出を現代風にする時代劇も増えていますが、今回の『みをつくし料理帖』は“ザ・昔ながらの時代劇”だったので、はっきり台詞を言う方がマッチしていました。

“上手い”より、“面白い”演技がしたい

時代劇、現代劇に関わらず、普段、お芝居をする上で心がけていることはありますか。

見ている人に「面白い」って言ってもらえるように頑張っています。ありきたりでつまらない、と言われることが一番嫌なので。

松本さんにとっての「面白い」とは、具体的にどんな演技ですか。

台本をなぞって、みんなが想像した通りに上手く演じるのではなく、「そこでそんなことをするんだ!」と、見ている人がハッとしてしまうような演技です。あるドラマの現場で、共演した俳優さんが、台本に「涙を流す」と書かれていないのに、目の前で自然にぽろっと涙を流したんです。お芝居をしていると分かっていても、ハッとさせられました。こんな風に、台本にとらわれず、現場で生まれてくるお芝居は面白いし、かっこいいと思います。

松本穂香 インタビュー|写真6

『みをつくし料理帖』でも、そのような瞬間がありましたか。

中村獅童さんとの共演シーンには注目して欲しいです。中村さんの勢いに飲まれそうになりながら、私も必死にアドリブで対応しました。テスト撮影では台本通りだったのに、本番で中村さんの演技ががらっと変わったんですよ!(笑)でも、納得の演技で、勉強になりました。

この作品で様々なことを経験したんですね。

この現場を乗り越えたんだから何があっても大丈夫、という自信がつきました。角川春樹さんの最後の監督作品ということ、錚々たる顔ぶれの共演者さんとお芝居をすることなど、プレッシャーを感じる要素が盛りだくさんで。そんな仕事をやりきったんだから、この経験を思い出せば、他の現場でも女優業を頑張れそうです。

女優業に対する思い

そもそも、松本さんが女優を目指すきっかけは何だったのでしょうか。

高校生の時に、演劇部に入ったのがきっかけです。演劇部はアニメや趣味に没頭しているオタクっぽい人が多くて。軽音部とも迷ったんですが、ちょっと“ダサダサ”な感じの演劇部の方が、私も気楽にやっていけそうだなと(笑)。

演劇部の経験が、女優になりたいと思うきっかけになったのですね。

入部して演技をしてみたら、「すごい上手だね」って褒められたんです。それまでの人生で、そこまで褒められたことが無くて。すごく嬉しかったことを、今でも鮮明に覚えています。部活をする中でくやしくて泣くこともありました。演劇部での経験が、演じることの面白さを知る原体験になっていますね。

松本穂香 インタビュー|写真8

その経験から、女優を仕事にしようと決めたと。

高校を卒業する段階で、演じることを仕事にする以外、選択肢が無かったです。嬉しかったり、くやしかったり、プラスの感情もマイナスの感情も含めて、ここまで何かに夢中になれることが女優の仕事以外にあるかな?って。その時は、それ以外思い浮かばなかった。やりたいことが無いのに大学に行くのも、お金がもったいないと思ってしまって。

落ちたら落ちたで失うものは何もないので、深く考えずにとりあえず行動しようとオーディションに応募しました。

演じることを「部活」から「仕事」にしてみて、感じることはありましたか。

仕事をはじめた頃は、変なプレッシャーが生まれてしまって。「そのプレッシャーさえなければ、きっとできたのに」っていう悔しい思いをたくさんしました。頑張っているつもりでも結果につながらない時期でしたね。

つらい時期を乗り越えるきっかけはあったのでしょうか。

女優としての転機になった作品は、NHK連続テレビ小説『ひよっこ』です。私にとって女優としてのスタートと言える作品で、今でも思い出せる瞬間がたくさんあります。もう何年も前の作品ですが、いまだにあの役良かったねって言ってもらえることも多くて。多くの人に私が演じた役を愛してもらうことができたし、私自身のことを知ってもらうきっかけにもなった本当に大切な作品です。

松本穂香 インタビュー|写真3

今では出演オファーが絶えないほど人気です。女優「松本穂香」の強みはどこにあると思いますか。

普通なところかな(笑)。

自分のどんな部分が「普通」だと感じるのでしょうか。

金銭感覚なども含め、女優になる前の一般人としての気持ちを大切にしているところですね。変化すること自体は悪いことではないですが、自分の芯となる部分はずっと変わらないままでいたいんです。調子に乗らず、穏やかな気持ちでお仕事できるのがベストだなと。あと私の強みといえば、チャレンジ精神。良い意味でこだわりを持たずに、「なんでもやります」「わからなくてもやってみます」っていう気持ちを大事にしています。

女優以外にも、いろんな仕事に挑戦していますよね。

はい。声優、ナレーション、ラジオなど、表現者の道を極めるために、幅広い仕事にチャレンジしています。ただ、自分のプライベートの部分を知って欲しいという気持ちはあまりないので、あくまで演じることを軸にして、自分の表現の幅を広げてくれる仕事に挑戦しているイメージです。声優もナレーションも、広い意味で言えばお芝居だと思っていますし、最近始めたラジオも自分のお芝居に還元できる部分があって、面白いんです。

■作品概要
映画『みをつくし料理帖』
公開時期:2020年10月16日(金)
出演:松本穂⾹、奈緒、若村⿇由美、浅野温⼦、窪塚洋介、永島敏⾏、藤井隆、野村宏伸、衛藤美彩、村上淳、榎⽊孝明、⿅賀丈史、⽯坂浩⼆(特別出演)、中村獅童、反町隆史
製作:角川春樹
監督:角川春樹
脚本:江良至、松井香奈、角川春樹
主題歌:手嶌 葵「散りてなお」
作詞・作曲:松任谷由実
原作:「みをつくし料理帖」髙田郁 ハルキ文庫

衣装クレジット:
・ニット 39,000円、ニットパンツ 46,000円(ルール ロジェット)
・ドレス 52,000円(ラウタシー)
問い合わせ先TEL:03-3797-3673(ブランドニュース)
・シューズ 38,000円(セレナテラ)
問い合わせ先TEL:03-6419-7732(ホールバイセレナテラ)
・イヤリング 5,832円、リング(3つセット) 2,430円(チャビ ジュエリー)
ヘアメイク:尾口佳奈
スタイリスト:道端亜未

©2020映画「みをつくし料理帖」製作委員会

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