リコール(RequaL≡)の2021年春夏コレクションが、東京・渋谷ヒカリエホールにて2020年10月17日(土)に発表された。
リコールは、文化ファッション大学院大学、ここのがっこうなどでファッションを学んだ土居哲也が手掛けるブランドだ。若手デザイナーの登竜門とされる「イエール国際モードフェスティバル」で、ファイナリストに選出され審査員特別賞を受賞した経歴を持つ。
土居が得意とするのは、異なる要素をドッキングさせる再構築のアプローチで、大胆にシルエットを変形させた、アートピースのような洋服作りにも長けている。
「Retrace」をテーマに、すでにある物を再びなぞり、またその痕跡に想いを馳せ再解釈を⾏った今季。ランウェイでは、Tシャツや白シャツ、ジャケットなどの日常服が、本来の形や機能性から飛躍した新しい形で披露された。本来は胸元にあるはずのジャケットの襟が背後に周り、腕を包んでいるはずの袖は、タコの足のように前後・左右様々なところに配置されている。
婦人服では、しっとりと華やかさをプラスしてくれるスカーフもドレスへと変化し、サラリーマンのユニフォームである白シャツは、何重にも重ねられて、ウェディングドレスのようなロマンティックな姿に。テーラードジャケットも、チュールやシースルー素材とドッキングされ、ワンピースへと昇華している。
また、動きのある演出も、リコールのショーの面白さであった。首からモービルのようなものでラグを吊り、歩く度に“ぶんぶん”と揺れ動くピースや、ヨットの帆のようにピンッとテキスタイルを張って仕上げたスカーフ柄のドレスなどが登場した。
最大の見せ場となったのは、即興型の着せ替えショー。キャンパスノートのような見た目のスクエア型ピースを持った男女は、高鳴る音楽とともにそれらを解体。ノートにはボタンをが付いていて、中を開けると“着用できる”シャツへと早変わりした。シャツの身頃には、鉛筆画のようなイラストがあしらわれて、後ろはケープのような仕立て。演出はもちろんだが、デザインもまたアイデア溢れる仕上がりだ。