スタジオジブリの原点を振り返る展覧会『「アニメージュとジブリ展 」一冊の雑誌からジブリは始まった』が、2021年9月12日(日)まで宮城・石巻のマルホンまきあーとテラスで、2021年12月9日(木)から2022年1月10日(月・祝)まで大阪の阪急うめだ本店 9階にて開催。その後、2022年2月5日(土)から3月27日(日)まで、秋田のアトリオン2F美術展示ホールにも巡回予定だ。
1978年に創刊された日本初の本格的な商業アニメ雑誌で、アニメ雑誌のパイオニア的存在である『アニメージュ』。本誌では、それまで脚光を浴びることのなかった業界内部、作家や制作に関わる人をクローズアップし、制作の現場裏を垣間見られる場面写真やインタビュー記事を掲載してきた。
そして、その『アニメージュ』を創刊から中心となって支えたのが、鈴木敏夫だ。彼は、『アニメージュ』で様々な実験的な試みを行う中、高畑勲、宮崎駿らとともに名作『風の谷のナウシカ』を世に送り出し、スタジオジブリ誕生への道筋をつくった。編集者である傍らプロデューサーとして、『火垂るの墓』や『となりのトトロ』など多くの作品に携わってきた。
また、『宇宙戦艦ヤマト』や『機動戦士ガンダム』に象徴される日本で最初のアニメブームを盛り上げた立役者の1人でもある。
『「アニメージュとジブリ展 」一冊の雑誌からジブリは始まった』では、今日、多くの作品を世に送り出すスタジオジブリのプロデューサーである鈴木敏夫の“編集者”としての仕事に着目。鈴木敏夫が編集した1989年11月号までの12年弱にわたる『アニメージュ』をもとに、『機動戦士ガンダム』を軸としたアニメブームから、『風の谷のナウシカ』の成功、そしてスタジオジブリ誕生と『天空の城ラピュタ』までを振り返る。
また、『アニメージュ』を作るうえで確立していった鈴木流のプロデュース術とはどういうものであるか、それが後の作品制作にどのような影響を与えたのかを紹介。さらに、鈴木敏夫と『アニメージュ』が日本だけでなく、世界のアニメーションの歴史と昨今の日本文化に与えた影響にもフィーチャーする。
ここから先は、2021年4月から一足先に開催された東京展の様子とともに、展覧会の詳細に迫っていく。
注目は、作品の世界観を存分に楽しめる展示だ。中でも目玉となるのは、『風の谷のナウシカ』に登場する「風使いの腐海装束」の展示。映画『シン・ゴジラ』など数々の作品でキャラクターデザインなどを手掛ける造形師・竹谷隆之の作品で、等身大で展示されるのは初の試みとなる。
さらに会場では、長銃や蟲笛、瘴気のマスクのほか巨神兵の模型も展示。そのリアルな表情に目を奪われること間違いなしだ。
1970年代後半のアニメブームの勃興期を、当時のアニメ映画ポスター、アニメグッズ、セル画コレクションといった資料から振り返る展示が登場。『アニメージュ』に先行して存在していたアニメ関連出版物も広く展示し、『アニメージュ』の独自性も知ることが出来る。
また、『アニメージュ』が繰り返し取り上げた、テレビアニメ『機動戦士ガンダム』特集紙面の再現や当時の制作資料を展示。また、ガンダムのプラモデル“ガンプラ”に注目し、初期“ガンプラ”による『機動戦士ガンダム』の名シーンを立体で表現したジオラマも展開する。