特別展「名古屋城からはじまる植物物語」が、名古屋のヤマザキマザック美術館にて、2021年4月24日(土)から8月29日(日)まで開催される。
1609年に徳川家康によって築かれた名古屋城は、260年間にわたり尾張徳川家の居城であった。その本丸御殿は戦前まで、狩野探幽を筆頭とする狩野派絵師による障壁画で彩られており、尾張の地には障壁画制作を背景として狩野派の作風が広まったのだった。
19世紀になると、医薬を扱う本草学が発達。本草学者たちは西欧の植物解剖学を学びつつ、狩野派の絵画表現と顕微鏡などで観察する方法とを組み合わせ、独自の植物画を描くようになった。
特別展「名古屋城からはじまる植物物語」では、江戸時代に尾張の絵師が継承してきた花鳥画をルーツとして、その伝統が西洋植物学と融合し、ボタニカルアート、ジャポニスム、そしてアール・ヌーヴォーへとつながっていった流れをたどる。
狩野派絵師の手による名古屋城本丸御殿の天井板絵のほとんどは第二次世界大戦の空襲で失われたものの、一部は戦災を免れた。本展では、今に伝わるこれらの天井板絵を、当時のきらびやかな色合いを蘇らせた復元模写とともに展示する。
また、会場では、尾張の本草学者・伊藤圭介の遺品や関連資料75点を通して、江戸時代の名古屋で育まれた植物・博物文化を紹介。晩年の伊藤圭介が自らの集大成として手がけた植物図譜『錦窠植物図説』をはじめ、“門外不出の品”とされてきた「勾玉」や「矢の根石、 天狗の飯七」など、初公開の品々も展示する。
さらに、植物をモチーフとした日本やヨーロッパの作品も多数展示。《百華文七宝大壺》は明治を代表する超絶技巧の七宝大壺であり、「茄子紺」と呼ばれる尾張の七宝特有の濃い紺色の地に、50種類もの花々を描いている。また、葛飾北斎の『北斎漫画』や、その影響を感じられるエミール・ガレのガラス工芸作品も目にすることができる。
特別展「名古屋城からはじまる植物物語」
会期:2021年4月24日(土)〜8月29日(日)
会場:ヤマザキマザック美術館
住所:愛知県名古屋市東区葵1-19-30
開館時間:平日 10:00〜17:30 / 土日祝 10:00〜17:00(入館はいずれも閉館30分前まで)
休館日:月曜日(5月3日(月・祝)、8月9日(月・振替休日)は開館)
入館料:一般 1,300円(10名以上 1,100円)、小・中・高生 500円、小学生未満 無料
※音声ガイド無料サービス
■名古屋城本丸御殿天井板絵・復元模写の展示
展覧会期を3期に分け、それぞれの期間に名古屋城本丸御殿天井板絵3点と復元模写1点を展示する。
期間:4月24日(土)〜6月6日(日)、6月8日(火)〜7月18日(日)、7月20日(火)〜8月29日(日)
【問い合わせ先】
ヤマザキマザック美術館
TEL:052-937-3737