企画展「日本の版画1200年—受けとめ、交わり、生まれ出る」が、東京の町田市立国際版画美術館にて、2025年3月20日(木・祝)から6月15日(日)まで開催される。
企画展「日本の版画1200年—受けとめ、交わり、生まれ出る」は、約1,200年にわたる、日本の版画の展開を紹介する展覧会だ。他国との交流にも目を向けつつ、奈良時代における日本現存最古の印刷物から、浮世絵、創作版画、新版画、現代版画まで、約240点の作品を町田市立国際版画美術館の収蔵品から選りすぐって公開する。
現存する日本最古の印刷物とされているのが、奈良時代の《無垢浄光大陀羅尼経(むくじょうこうだいだらにきょう)》だ。平安時代入ると、主に仏像内部に納めるための木版画制作が活発化し、南北朝時代には、仏教版画が礼拝の対象として祀られるようになった。本展の序盤では、《無垢浄光大陀羅尼経》をはじめ、日本の版画の起こりと祈りの形に着目する。
日本を代表する版画として親しまれているのが、浮世絵だろう。もともと美人画や役者絵を中心としていた浮世絵は、葛飾北斎や歌川広重らの活躍により、風景画という新ジャンルが確立。その背景には、中国の版画や西洋画の影響があるとされる。会場では、外国からもたらされた文化の吸収に目を向けつつ、北斎の《冨嶽三十六景 遠江山中》や広重の《東海道五拾三次之内 箱根 湖水図》など、多様に変化した浮世絵の様相を紹介する。
江戸時代以来の浮世絵は、絵師・彫師・摺師の分業体制によるものであった。明治30年代には、「自画・自刻・自摺」を掲げ、制作を一貫して行う「創作版画」が登場。その一方、大正時代には、浮世絵の伝統的な分業体制を継承した「新版画」が起こることになった。本展では、新版画で活躍した小早川清や川瀬巴水など、西洋美術に刺激を受けつつ、浮世絵を超えることを目指した近代日本の版画に目を向ける。
昭和20年(1945年)、日本が第二次世界大戦に敗れると、海外との交流を契機に新たな版画が生まれることとなった。こうしたなか、1956年には、版画家・棟方志功がヴェネツィアビエンナーレで賞を獲得。翌年には東京国際版画ビエンナーレがスタートし、日本の版画家が国際的に活躍する土台が整うほか、小学校から大学まで、版画を学ぶ環境が整うなど、戦後日本は版画大国として成長していった。会場の終盤では、棟方志功の《二菩薩釈迦十大弟子 富樓那の柵》や靉嘔の《レインボー北斎 ポジションA》など、戦後日本の版画作品を展示する。
企画展「日本の版画1200年—受けとめ、交わり、生まれ出る」
会期:2025年3月20日(木・祝)〜6月15日(日) 会期中に展示替えあり
[前期 3月20日(木・祝)〜5月6日(火・振) / 後期 5月8日(木)〜6月15日(日)]
会場:町田市立国際版画美術館 企画展示室1・2
住所:東京都町田市原町田4-28-1
開館時間:平日 10:00~17:00 / 土・日曜日、祝日 10:00~17:30
※入場はいずれも閉館30分前まで
休館日:月曜日(5月5日(月・祝)・6日(火・振)は開館)、5月7日(水)
観覧料:一般 800円(600円)、高校・大学生 400円(300円)、中学生以下 無料
※( )は20名以上の団体料金
※身体障がい者手帳、愛の手帳(療育手帳)、精神障がい者福祉手帳の所持者および付添者1名は半額
※展覧会初日の3月20日(木・祝)、開館記念日の4月19日(土)は入場無料
※会期中の第4水曜日「シルバーデー」(3月26日、4月23日、5月28日)は65歳以上の入場無料
【問い合わせ先】
町田市立国際版画美術館
TEL:042-726-2771