企画展「北斎×プロデューサーズ 蔦屋重三郎から現代まで」が、東京のすみだ北斎美術館にて、2025年3月18日(火)から5月25日(日)まで開催される。
浮世絵版画が多くの庶民に親しまれていた江戸時代。当時、版画や版本といったメディアを取り扱っていたのが、「板元(はんもと)」だ。板元とは、今でいう出版社、出版取次会社、小売りの本屋、古本屋を兼ねた存在であったといえる。版画や版本の売れ行きは、社会の動向や流行に大きく依存するため、板元が重要な役割を担うことになった。
「冨嶽三十六景」などで知られる葛飾北斎も、さまざまな板元のもとで活動した。企画展「北斎×プロデューサーズ 蔦屋重三郎から現代まで」は、板元が北斎をどのようにプロデュースし、どういった作品を世に送ったのかを探る展覧会。北斎がさまざまな板元のもとで手がけた作品ばかりでなく、北斎に着想を得た現代アーティストの作品も紹介する。
江戸時代の板元で「江戸のメディア王」と評されたのが、「蔦重」こと蔦屋重三郎(つたや じゅうざぶろう)である。大田南畝(おおた なんぼ)など、一流の狂歌師や戯作者とともに活動し、喜多川歌麿や東洲斎写楽といった新たな浮世絵師を発掘した重三郎は、北斎にも早くから目をつけていたようだ。初代亡きあとも、板元は明治時代の5代目まで続いた。本展では、初代と二代のふたりと北斎の関わりに着目し、『画本東都遊』や『画本狂歌 山満多山』といった作品を展示する。
北斎の活動に関わった板元には、蔦屋最大のライバルであった西村屋与八(にしむらや よはち)や、名古屋を代表する板元・永楽屋東四郎(えいらくや とうしろう)など、蔦屋以外にも数多く挙げることができる。西村屋は、「冨嶽三十六景」を出版し、浮世絵において風景画の確立に貢献する一方、永楽屋は北斎の代表作のひとつ『北斎漫画』を手がけている。会場では、北斎と板元の軌跡に光をあてつつ、《冨嶽三十六景 凱風快晴》や『北斎漫画』などを紹介する。
現代においても、浮世絵版画の伝統的な技術を継承する出版元が活動している。本展では、こうした出版元が手がけた作品を紹介。福田美蘭の《冨嶽三十六景 凱風快晴》や佐藤典久の《Rhythm》など、北斎作品に着想した現代アーティストの作品を目にすることができる。
企画展「北斎×プロデューサーズ 蔦屋重三郎から現代まで」
会期:2025年3月18日(火)~5月25日(日) 前後期で一部展示替え予定
[前期 3月18日(火)~4月20日(日) / 後期 4月22日(火)~5月25日(日)]
会場:すみだ北斎美術館 3階企画展示室
住所:東京都墨田区亀沢2-7-2
開館時間:9:30~17:30(入館は17:00まで)
休館日:月曜日(5月5日(月・祝)は開館)、5月7日(水)
観覧料:一般 1,000円、高校・大学生 700円、65歳以上 700円、中学生 300円、障がい者 500円、小学生以下 無料
※観覧日当日にかぎり、4階「北斎を学ぶ部屋」、常設展プラスも観覧可
※障害者手帳の提示者および付添者1名までは、障がい者料金で観覧可
※一般以外の料金対象者は、年齢などを確認できるものを持参のこと
【問い合わせ先】
すみだ北斎美術館
TEL:03-6658-8936