2021年度アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされた映画『アイダよ、何処へ?』が、2021年9月17日(金)より東京・渋谷のBunkamura ル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開される。
映画『アイダよ、何処へ?』は、第二次世界大戦後の欧州最悪のジェノサイド(=集団虐殺)とされる、約8千人のイスラム教徒が虐殺された惨劇「スレブレニツァ・ジェノサイド」の真実を描いた衝撃の作品。1995年のボスニア・ヘルツェゴヴィナ東部のスレブレニツァを舞台に、国連平和維持軍で通訳として働く女性アイダが同胞や家族を必死に守ろうとする姿を描く。
監督を務めるのは、31歳の時に発表した長編デビュー作『サラエボの花』でベルリン国際映画祭金熊賞に輝いた、ヨーロッパを代表する気鋭の女性監督ヤスミラ・ジュバニッチ。『サラエボの花』を発表して以来、『サラエボ、希望の街角』をはじめ、一貫して故郷ボスニア・ヘルツゴヴィナで起きた悲劇を描き続けている。ヤスミラ・ジュバニッチは、映画『アイダよ、何処へ?』について下記の通りコメントを寄せた。
5 年の歳月をかけ、多くの障害を乗り越えて、ようやく映画を完成させることができました。スレブレニツァ事件はボスニア人にとってつらい記憶です。 25 年を経た今でも遺体の捜索は続いているし、虐殺を逃れた人たちの多くはまだ生きている。そして、殺害された遺体が新たに発見されたら誰かが刑に処されることになる。だからセルビアでは事件自体を否定する声もあるし、さまざまな感情が渦巻く政治的にも難しい問題なのです。
そこに踏み込むのは私には無理だとずっと思ってきました。ですが5作品を手掛け、ようやく私にも撮れると感じたんです。それで 調査を始めて大勢に話を聞くところから始めましたが、想像以上の大仕事でした。生き延びた人たちー彼らは今も生きているし、実際に起こったことをその目で見ているーへの大きな責任もある。だから、私たちボスニア人にとって苦痛に満ちたこの出来事を、できるだけ正確に世界に伝えたかったのです 。
なお、映画『アイダよ、何処へ?』は、第74回アカデミー賞外国語映画賞受賞作『ノー・マンズ・ランド』以来19年ぶりにボスニア・ヘルツェゴヴィナ映画として、2021年度のアカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされた。
ボスニア紛争末期の1995年7月11日、ボスニア東部の町スレブレニツァがセルビア人勢力の侵攻によって陥落。避難場所を求める 2 万人の市民が、町の外れにある国連施設に殺到した。国連保護軍の通訳として働くアイダは、夫と二人の息子を強引に施設内に招き入れるが、町を支配したムラディッチ将軍率いるセルビア人勢力は、国連軍との合意を一方的に破り、避難民の“移送”とおぞましい処刑を開始する。愛する家族と同胞たちの命を守るため、アイダはあらゆる手を尽くそうと施設の内外を奔走するが。
映画『アイダよ、何処へ?』
公開日:2021年9月17日(金)よりBunkamura ル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開
監督:ヤスミラ・ジュバニッチ
出演:ヤスナ・ジュリチッチ/イズディン・バイロヴィッチ
ボスニア・ヘルツェゴヴィナ・オーストリア・ルーマニア・オランダ・ドイツ・ポーランド・フランス・ノルウェー・トルコ合作映画/ボスニア語・セルビア語・英語他/2020年/101分/原題:Quo Vadis, Aida
提供:ニューセレクト/配給:アルバトロス・フィルム