特別展「懐石の器」滋賀で - “おもてなし文化”が生んだ懐石の器や茶器、名品約180点を展示

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滋賀のMIHO MUSEUM(ミホミュージアム)では、春季・夏季特別展「懐石の器」を、2022年3月19日(土)から6月5日(日)ならびに7月9日(土)から8月14日(日)までの期間開催する。

日本人の豊かな感性が生み出してきた「懐石の器」

「懐石」とは、お茶を美味しくいただくための簡素な料理の呼び名。“ふところの石”と書くように、修行中の禅僧が石を温めて懐にいだき、一時の空腹を紛らわせたという伝承から生まれた言葉だ。豪華な献立を誇るのではなく、心のこもった、美味しくて実のある料理のことを指す。

懐石にはいくつかの特徴が挙げられる。たとえば、客が料理を一番美味しく食べられるよう、出来立てを1品ずつ運ぶこと。また、亭主自ら給仕し客と楽しく交流することや、身近な旬の食材を使って客の好みに合うよう工夫すること、多すぎず丁度よい量であること、料理にふさわしい器を楽しむことなどもその例のうちだ。千利休が始めたとされるこのような形は、江戸時代中期にさらに形式化。今日の懐石へと繋がっていった。

茶道具と懐石の器から名品約180点を展示

「備前瓢形徳利銘くくり猿」桃山時代 16-17世紀備前窯益田鈍翁旧蔵 MIHO MUSEUM蔵
「絵唐津片口猪口」桃山-江戸時代 17世紀唐津窯 MIHO MUSEUM蔵
「根来角切折敷」室町時代 15-16世紀 MIHO MUSEUM蔵

もてなしの心を土台として日本人の豊かな感性と結びついてきた「懐石」。春季・夏季特別展「懐石の器」では、その中でも料理を彩る“器”にフォーカス。所蔵の茶道具と懐石の器から名品を選りすぐり、会場をひとつの茶会に見立てて懐石の流れに沿って展示する。

「花鳥図螺鈿輪花盆」中国・明時代 16-17世紀 (春季のみ展示) MIHO MUSEUM蔵

会場には、織部・黄瀬戸・志野など美濃窯の向付、光悦・乾山や、瀬戸・唐津・伊万里・備前・信楽焼の茶碗や食器、秀衡椀や永田犮治の蒔絵椀、煌びやかな和ガラスの器など、初公開となる約30点を含む約180点もの作品が勢揃い。時には器に料理を盛りつけた写真を添えて、分かりやすく紹介する。

「松漆絵三つ椀」(秀衡椀) 桃山-江戸時代 16-17世紀 (春季のみ展示) MIHO MUSEUM蔵

また、江戸時代に近衛家当主であった近衛予楽院の茶会記をもとに、当時の茶会で乾山や和ガラスの器がどのように使われていたかを解説するコーナーも登場。

「切子角形ガラス三段重」江戸時代後期-明治時代初期 19世紀ガラス MIHO MUSEUM蔵

初公開となる大井戸茶碗「小一文字」(益田鈍翁・松永耳庵旧蔵)とその取り合わせも含め、MIHO MUSEUMの原点であるコレクションが一堂に会する。

【詳細】
■春季特別展展「懐石の器炉の季節」
会期：2022年3月19日(土)～6月5日(日)
■夏季特別展「懐石の器風炉の季節」
会期：2022年7月9日(土)～8月14日(日)
会場：MIHO MUSEUM
住所：滋賀県甲賀市信楽町田代桃谷 300
入館料：一般1,300円、高・大生1,000円、中学生以下無料
※20名以上の団体は200円割引。ただし、4月1日～5月8日は団体受入不可。
※オンラインによる事前予約が必要。予約受付は、来館日の前週の火曜日午前10:00から。
開館時間：10:00～16:00(入館は15:00まで)
休館日：月曜日、3月22日(火)、7月19日(火)
※3月21日(月)、7月18日(月)は開館。
※春季と夏季で一部展示替えが行われる。

【問い合わせ先】
MIHO MUSEUM
TEL：0748-82-3411