タナカダイスケ(tanakadaisuke)の2022-23年秋冬コレクションが発表された。
「おまじないをかけたようなお洋服で、自分の中にいるまだ見ぬ自分と出会えますように」というブランドコンセプトのもと、ロマンティックで幻想的なコレクションを展開するタナカダイスケ。
初のランウェイ形式での発表となった今季、デザイナーの田中大資がテーマに掲げたのは「浪漫について」。誰もが小さい頃に憧れたであろう少女漫画や映画を振り返り、それらを見たときのドラマティックな感情を思い出してほしいとの想いからコレクションを創り上げた。
ショーの始まりを告げたのは、観客をおとぎ話の世界に誘う大きな鐘の音。ファンタジックなときめきが会場を包む中、ファーストルックに登場したのが、妖精のように儚げなブルーのロングドレスだ。透けるような光沢の生地には、煌めくビジューやスパンコールの花がたっぷりあしらわれている。
実はこのショー、主人公が“魔法少女”へと変身していく物語を表現しているそう。身体にリボンが螺旋状に回っているような刺繍のデザインは、魔法少女へと変身しているシーンをイメージしたものだ。
レースの制服とテーラードコートをミックスしたルックは、出勤シーンが着想源。ほかにも、お城と怪しい草木をシルバーで表現したドレスや、心臓が飛び出たようなネックレス、お城の外側の柵を模したビジュー刺繍をスパイスに配したドレスなど、非現実的なピースが物語を進行させてゆく。
散見されたのは、庭のいちごや優美なスワン、薔薇園といったロマンティックなモチーフ。ダブルブレストジャケットには立体的なローズの花を咲かせ、合わせるスカートにもヴィンテージ風の薔薇柄をたっぷりと。コーディネートはとことんエレガントに、ガーリーに仕上げているのが印象的だ。
可愛らしさや綺麗さに加えて、ちょっぴりダークな世界観を交えた衣服も登場した。漆黒のベルベットのスーツを纏った少年は背中から翼が生えており、どこか妖艶な雰囲気。2名並んで登場した天使たちは、白と黒のグローブに“清らか”と“ダーク”な性格を落とし込み、痛みや弱さ、グロテスクといった側面を表現した。
ラストは、女優の橋本愛がプリンセスのように幻想的なドレスに身を包んで登場。ふんわりと広がるシフォンのスカート部分には、ブランドの得意とする刺繍をたっぷりと装飾し、手にはリボンやハート形のステッキを。主人公が“魔法少女”へと変身した姿を映し出した。