展覧会「鈴木大拙展 Life=Zen=Art」が、東京のワタリウム美術館にて、2022年7月12日(火)から10月30日(日)まで開催される。
鈴木大拙(すずき だいせつ)は、精神と物質の差異を無化する「霊性」という理念を提起し、禅の教えを世界に紹介した仏教学者だ。1870年、金沢に生まれた大拙(本名・貞太郎)は、東京帝国大学在学中、鎌倉円覚寺に参禅して居士号「大拙」を受ける。1897年より約10年のアメリカ滞在を経験したのちに学習院や東京帝国大学などで教鞭を執り、晩年の1949年から58年にかけてはアメリカやヨーロッパで大乗仏教思想を講じた。
晩年、アメリカで講義を行う大拙のもとには、のちに現代音楽で新しい領域を開拓するジョン・ケージ、『ライ麦畑でつかまえて』などを著すことになる小説家J・D・サリンジャーなどが集った。大拙の教えは、いわば現代芸術のひとつの源泉であったといえる。
また、大拙は日本のさまざまな領域にも多大な影響を及ぼした。その例には、大拙の高等中学校以来の盟友である西田幾太郎の哲学、互いに無名時代に書簡を交わしあった南方熊楠の生物学、そして大拙に学んだ柳宗悦の民藝などを挙げることができる。
展覧会「鈴木大拙展 Life=Zen=Art」では、ローカル・グローバルという区分を超えて、多彩なジャンルの表現に影響を与えた鈴木大拙を起点に、その展開を紹介。大拙を筆頭に、岡倉天心、谷口吉生、坂本龍一、そしてヨーゼフ・ボイスやナムジュン・パイクなども取り上げ、大拙に始まる表現の系譜と、その未知なる可能性に光をあてる。
展覧会「鈴木大拙展 Life=Zen=Art」
会期:2022年7月12日(火)〜10月30日(日) 会期中に一部展示替えあり
会場:ワタリウム美術館
住所:東京都渋谷区神宮前3-7-6
開館時間:11:00〜19:00
休館日:月曜日(7月18日(月・祝)、9月19日(月・祝)、10月10日(月・祝)は開館)
入館料:大人 1,500円、大人ペア 2,600円、学生(25歳以下)・高校生・70歳以上 1,300円、小・中学生 500円
※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の所持者および介護者(1名まで)は1,300円
※会期中、本人は何度でも展覧会へ入場できるパスポート制チケット(再入場時には、本人であることを確認できるものを提示)
■展示予定作家
木喰明満、岡倉天心、南方熊楠、西田幾多郎、鈴木大拙、柳宗悦、棟方志功、ジョン・ケージ、ヨーゼフ・ボイス、ナムジュン・パイク、谷口吉生、坂本龍一、山内祥太
■資料展示
仙厓義梵、J・D・サリンジャー ほか
【問い合わせ先】
ワタリウム美術館
TEL:03-3402-3001