神戸の横尾忠則現代美術館では、展覧会「開館10周年記念展 横尾さんのパレット」を、2022年8月6日(土)から12月25日(日)まで開催する。
「開館10周年記念展 横尾さんのパレット」は、横尾忠則の作品の特徴である鮮やかな色彩に着目し、約40年にわたるその活動をたどる展覧会だ。歴代の代表シリーズを含む作品を、そのテーマや様式にとらわれずに色で分類して紹介する。
画家転向後の横尾を象徴する色に、「赤」を挙げることができる。それを決定付けたのが、1996年から手がけられた赤い絵の連作であり、これは少年時代に目にした空襲で赤く染まった空に由来している。会場では、《二つの叫び》をはじめとする「赤の時代」の作品を紹介。闇と入り混じり、生命のエネルギーを感じさせ、あるいはどこか不穏さを漂わせる横尾ならではの赤の世界を探る。
「青」もまた、横尾をイメージさせる色彩だ。青と言えば、通常は空や海が想起されるが、横尾作品においてはそうした作例は少なく、むしろ闇夜の果てのない宇宙のように、青は先の見えない不穏な雰囲気をもたらすものである。本展で展示される《女性と紳士靴》のような肖像画でも、青という色彩は現実から切り離された浮遊感を与えている。
一方、「赤の時代」に続く転機が、2000年の「Y字路」である。夜の闇を背景とする同シリーズは、必然的に「黒」との組み合わせのもとで描かれていた。特に、2010年の「黒いY字路」シリーズはひとつの到達点であり、闇を表す黒と、絵具の物質性のせめぎ合いが表現されている。一方、2002年には、これと対照をなすようにして、色鮮やかなY字路のシリーズが手がけられている。会場では、「Y字路」を中心に、黒と色彩との両極の世界を紹介する。
本展ではさらに、横尾が使用したパレットや絵具なども展示し、作品が生まれる背景にも光をあてる。
展覧会「開館10周年記念展 横尾さんのパレット」
会期:2022年8月6日(土)〜12月25日(日)
会場:横尾忠則現代美術館
住所:兵庫県神戸市灘区原田通3-8-30
開館時間:10:00〜18:00(入場は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(9月19日(月・祝)、10月10日(月・祝)は開館)、9月20日(火)、10月11日(火)
観覧料:一般 700円(550円)、大学生 550円(400円)、70歳以上 350円(250円)、高校生以下 無料
※( )内は20名以上の団体割引料金
※障がい者は各観覧料金(ただし70歳以上は一般料金)の75%割引、介護者(1名)は無料
※割引対象者は、証明できるものを持参のうえ、会期中美術館窓口で入場券を購入
【問い合わせ先】
横尾忠則現代美術館
TEL:078-855-5607 (総合案内)