東京都写真美術館が、写真展「101年目のロバート・キャパ - 誰もがボブに憧れた」を2014年3月22日(土)から5月11日(日)までの期間開催する。今年で生誕101年を迎える伝説の報道写真家、ロバート・キャパの等身大の姿が、彼の残した作品を通して浮き彫りにされる。
「キャパは多くの友人に愛されていたが、それ以上にいつも友人たちを愛していた」。そう作家ジョン・スタインベックが書き残しているように、愛とユーモアにあふれた人物であったロバート・キャパ。しかし、それは彼のほんの一部分をとらえているすぎない。本展では、戦渦の壮絶な様子をおさめた写真や、その状況の中でふと人々が人間性を取り戻す瞬間を切り取ったものなど、ユーモアや生きる喜びが表れた作品などを通して、彼のパーソナリティをも垣間見える。
写真展は全部で5章で構成されており、第1章は「時代」、第2章は「戦渦」、第3章は「つかの間の安らぎ」、第4章は「友人たち」、第5章は「人々とともに」と題されている。第1章の「時代」では、第2次世界大戦直後、ドイツ軍から解放された瞬間の人々の喜びの顔に埋め尽くされた街の様子など、時代の転換期をとらえた作品が並ぶ。ドイツ軍兵士との間に子供を設けたために、同じフランス人から私刑として髪を刈られ、嘲笑される女性たちを同情を以て撮ったものなど、写真から優しさを感じるものも。2章では、スティーブン・スピルバーグの『プライベート・ライアン』のモデルにもなったノルマンディー上陸作戦の戦場で撮られた写真や、スペイン内戦下で銃弾により亡くなる瞬間をとらえた「くずれ落ちる兵士」など、有名な戦場写真が展示されている。
「ボブ」の愛称で親しまれた彼には、パブロ・ピカソやアーネスト・ヘミングウェイをはじめとする数々の華やかな交友関係が。第4章は、その中で収められた彼らのポートレートをたどることで、ロバート・キャパの興味深い人間像があらわにされる。中には、恋人であった女優のイングリッド・バーグマンや公私のパートナーで戦友でもあった女性写真家ゲルダ・タローの姿も。また、番外編「Puls1」のコーナーでは、キャパの肉声や、雑誌の原稿などに使われていたというビンテージ・プリントといった当時のリアルな状況を伝える展示で、彼が生きた時代の空気感を味わうことができる。
左) ゲルダ・タロー フランス、パリ 1936年 International Center of Photography 蔵
©International Center of Photography / Magnum Photos
右) ツール・ド・フランスのレースを見物する人びと フランス、ブルターニュ 1939 年7 月 東京富士美術館蔵 ©International Center of Photography / Magnum Photos
偉大な写真家として知られる一方で、ギャンブルと女性をこよなく愛する、人間らしい一面も持ち合わせていたロバート・キャパ。戦渦の中に飛び込み、人々にレンズを向け続けた彼の優しさ、暖かさは、作品の隅々までをも満たしている。
ロバート・キャパ愛用の最期のカメラ
Robert Capa’s Last Camera
ニコン製
Nikon
東京富士美術館蔵
また、会場にはキャパが第1次インドシナ戦争の撮影中、地雷を踏んで死亡する間際まで使用していた「最期のカメラ」(東京富士美術館所蔵)を特別に出展。現地の泥が付着し、カメラケースやストラップからは使い込まれたしっかりと様子が伝わってくる。数少ない遺品の一つとなった「最期のカメラ」が、会場でキャパの新たな魅力に触れる事のできる絶好の機会を演出するだろう。
【開催情報】
101年目のロバート・キャパ — 誰もがボブに憧れた Robert Capa, the 101st Year: They All Adored Bob
期間:2014年3月22日(土)〜5月11日(日)
会場:東京都写真美術館 地下1階展示室
住所:東京都目黒区三田 1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
時間:10:00〜18:00(木曜・金曜は20:00まで。入館は閉館の30分前まで)
休館日:毎週月曜日(ただし4月28日と5月5日は開館)、5月7日(水曜日)
料金:一般 1,100円(880円)/学生 900円(720円)/中高生・65歳以上 700円(560円)
※( )内は20 名以上の団体および東京都写真美術館友の会会員
※小学生以下及び障害者手帳をお持ちの方とその介護者は無料
※第3水曜日は65歳以上無料
【問い合わせ先】
東京都写真美術館
TEL:03-3280-0099