展覧会「THE 新版画 版元・渡邊庄三郎の挑戦」が、高知県立美術館にて、2023年1月28日(土)から3月19日(日)まで開催される。広島や神奈川でも開催された巡回展だ。
「新版画」とは、江戸期に興った浮世絵木版画の技術を用い、高い芸術性を持つ木版画を制作することを目指したものだ。これを牽引したのが、明治末期から昭和期にかけて活躍した版画商・渡邊庄三郎(わたなべ しょうざぶろう)であった。
江戸期に確立された浮世絵木版画は、メディアの働きを担って人びとのあいだに広まったものの、より複製性に優れる写真や印刷技術が西洋からもたらされると、徐々に衰退してゆくこととなる。浮世絵特有の美しさに魅了された渡邊庄三郎はこれを憂い、江戸期以来の木版画の復興と新しい時代の木版画制作を志して、大正初期より新版画に携わったのだった。
渡邊は、浮世絵木版画の伝統的な制作方法、すなわち版元のもと、絵師、彫師、摺師の協働によって木版画を制作する分業体制を踏襲する一方、日本画家・鏑木清方の門下生を中心に、同時代の新進気鋭の画家を絵師に起用した。また、高品質な材料を用いるばかりでなく、従来にはない鮮やかで複雑な彩色に、「ざら摺り」といった手摺りならではの技術を駆使することで、創意工夫に優れた木版画作品を世に送ったのだ。
展覧会「THE 新版画 版元・渡邊庄三郎の挑戦」では、残存数が少ない貴重な初摺(しょずり)の渡邊版から、渡邉庄三郎による新版画挑戦の軌跡を紹介。伊東深水や川瀬巴水、笠松紫浪、小早川清などによる木版画作品を一挙に展示する。
展覧会「THE 新版画 版元・渡邊庄三郎の挑戦」
会期:2023年1月28日(土)〜3月19日(日) 会期中無休
会場:高知県立美術館
住所:高知県高知市高須353-2
開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
観覧料:一般前売 960円、一般当日 1,200円(960円)、大学生 850円(680円)、高校生以下 無料
※前売券は、1月27日(金)まで、ローソンチケット(Lコード 63646)にて販売
※( )内は20名以上の団体料金
※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、戦傷病者手帳、被爆者健康手帳の所持者と介護者(1名)、高知県および高知市長寿手帳の所持者は無料
【問い合わせ先】
高知県立美術館
TEL:088-866-8000