縦⽷は流れ⾏く⽉⽇。横⽷は⼈のなりわい。⼈⾥離れた⼟地に住み、ヒビオルと呼ばれる布に⽇々の出来事を織り込みながら静かに暮らすイオルフの⺠。10代半ばで外⾒の成⻑が⽌まり数百年の寿命を持つ彼らは、“別れの⼀族”と呼ばれ、⽣ける伝説とされていた。
両親のいないイオルフの少⼥マキアは、仲間に囲まれた穏やかな⽇々を過ごしながらも、どこ
かで“ひとりぼっち”を感じていた。そんな彼らの⽇々は、⼀瞬で崩れ去る。イオルフの⻑寿の⾎を求め、レナトと呼ばれる古の獣に跨りメザーテ軍が攻め込んできたのだ。絶望と混乱の中、イオルフ⼀番の美⼥レイリアはメザーテに連れさられ、マキアが密かに想いを寄せる少年クリムは⾏⽅不明に。マキアはなんとか逃げ出したが、仲間も帰る場所も失ってしまう……。
虚ろな⼼で暗い森をさまようマキア。そこで呼び寄せられるように出会ったのは、親を亡くし
たばかりの“ひとりぼっち”の⾚ん坊だった。少年へと成⻑していくエリアル。時が経っても少⼥のままのマキア。同じ季節に、異なる時の流れ。変化する時代の中で、⾊合いを変えていく⼆⼈の絆。ひとりぼっちがひとりぼっちと出会い紡ぎ出される、かけがえのない時間の物語。