太平洋戦争に敗れ、貧困と無秩序の日本。焼け跡から立ち上がった人々は、高度経済成長のもとで所得倍増を追い、バブル崩壊まで欲望のままに生きて、昭和が去るとその勢いは止まった。理想の時代から、夢の時代、そして虚構の時代へと変わっていく。誰もが豊かさを欲する社会の片隅で、何にも怯むことなく、たった一人で飢えや汚辱と闘い、世間のまなざしに抗い続けた“無頼の徒”がいた。やがて男は一家を構え、はみだし者たちを束ねて、命懸けの裏社会を生き抜いていく。