1934年にノーベル⽂学賞を受賞した⽂豪ルイジ・ピランデッロは死に際し、「⾃⾝の灰は故郷シチリアに」と遺⾔を残す。しかし、時の独裁者ムッソリーニは作家の遺灰を、その名誉を利⽤するためにローマに留めおいた。戦後、ようやく彼の遺灰が⼊った壺が、ローマからシチリアへと帰還することに。シチリア島の特使がその重要な務めを命じられるのだが、アメリカ軍の⾶⾏機に搭乗拒否されたり、壷がどこかへ消えたり、次から次へとトラブルに⾒舞われる…。果たして、遺灰は無事にシチリアに届けられるのだろうか̶̶︖
イタリア映画『遺灰は語る』は、イタリアの名匠タヴィアーニ兄弟の弟パウロ・タヴィアーニが、兄ヴィットリオの死後初めて一人で監督した作品。ノーベル文学賞作家ルイジ・ピランデッロの“遺灰”の旅を映し出し、ベルリン映画祭国際批評家連盟賞に輝いた。エピローグとしてピランデッロの遺作「釘」から脚色された一編も描かれる。