フェンディ(FENDI)のエキシビション「ハンド・イン・ハンド~卓越した職人技への称賛〜」が、東京・表参道にて、2023年4月20日(木)から5月8日(月)まで開催される。
「ハンド・イン・ハンド~卓越した職人技への称賛〜」展は、フェンディの根底にある職人の手仕事に着目しつつ、アイコンバッグである「バゲット(Baguette)」と「ピーカブー(Peekaboo)」を紹介するエキシビションだ。フェンディの本拠地・イタリアのローマを会場に、2021年10月より約3か月にわたって開催された展示が、世界2番目の開催地として表参道に上陸する。
本展では、イタリア各地に息づく伝統工芸技術を反映させた「バゲット」バッグや、現代において活躍するアーティストとのコラボレーションによる「ピーカブー」を一堂に集めて紹介。なかでも、日本の作家や職人とともに製作されたバッグは、東京会場で初の展示となる。
「バゲット」は、1997年にシルヴィア・フェンディ(Silvia Venturini Fendi)が発表したアイコンバッグだ。フェンディは2020年より、世界各地の職人たちとのコラボレーションを通じて「バゲット」を再解釈するプロジェクト「ハンド・イン・ハンド」をスタート。各地に古くから受け継がれてきた職人の工芸技術を用い、「バゲット」を無二のバッグへと昇華してきた。
「ハンド・イン・ハンド」展では、イタリア各地の伝統工芸技術を用いた「バゲット」バッグを一堂に集めて展示。たとえば、イタリア北西部・リグーリア州のカンポ・リーグレでは、中世以来の伝統である細金細工「フィリグリー」の銀細工が今なお受け継がれている。同地の工房「エッフェエール」は、渦巻き状のフィリグリーをシルバーのレースで縁取ることで、繊細な「バゲット」を作りだしている。
また、エミリア・ロマーニャ州のアコメナ・スパジオ・モザイコは、5〜6世紀のビザンチン帝国で育まれたモザイクタイル細工の伝統を受け継ぐもの。ガラスなどの小さな破片を組み合わせて壁や天井に精緻なパターンを描きだすこの技術を反映し、ラヴェンナの街を象徴する星のモザイクを「バゲット」に表現した。
そのほか、ロンバルディア州・ヴァレーゼが誇る現代屈指のレザークラフト技術を応用し、エメラルドグリーンのクロコダイルレザーで構築的なデザインに仕上げたバッグや、プーリア州・ナルドの町の繊細なレース細工を施したバッグ、カンパニア州・ソレントのベネディクト会修道院で発見された複雑な嵌細工を反映したものなど、イタリア各地の精緻な手仕事から生まれた「バゲット」を目にすることができる。
世界2番目の巡回先となる東京会場では、日本の伝統的な手仕事とともに作られた「バゲット」も紹介。タッグを組んだのは、栃木の「にしかた染織工房」4代目である西形彩(にしかた あや)だ。伝統的な染織技術を受け継ぎつつ、独自の色彩表現を追求する西形は、色彩が鮮やかなコントラストとグラデーションを織りなす綴れ織りで「バゲット」をアレンジ。ランダムな膨らみのあるウール糸を色鮮やかに染め、手織りで丁寧に織りあげることで、複雑な色彩模様を持つ「バゲット」を完成させた。会場では、バッグのみならず、織り機や素材もあわせて展示している。
「ハンド・イン・ハンド」展で着目するもうひとつのアイコンバッグが、2008年にシルヴィア・フェンディがデザインし、2009年春夏ウィメンズコレクションで発表された「ピーカブー」だ。本展では、世界中のアーティストやデザイナーなどが独自のアレンジを施した「ピーカブー」を紹介している。