映画『青いカフタンの仕立て屋』が、2023年6⽉16⽇(⾦)に公開される。
映画『青いカフタンの仕立て屋』は、マリヤム・トゥザニが監督を務める新作映画。マリヤム・トゥザニといえば、モロッコの劇映画として初めて日本公開され、ヒットを記録した2021年の映画『モロッコ、彼女たちの朝』を手がけ、心に孤独を抱えた2人の女性の連帯と希望を描いたことでも知られている。
そんなマリヤム・トゥザニが贈る『青いカフタンの仕立て屋』では、海沿いの街・サレを舞台に、カフタンドレスの仕立て屋を営む夫婦の愛と決断の物語が描かれる。
結婚式や宗教行事などのフォーマルな場で着用される、モロッコの伝統衣装であるカフタンドレス。安価で手早く仕上がるミシン刺繍が普及した現在、貴重な存在となった職人の伝統を守る仕事を愛しながらも、ハリムは苦悩していた。職人気質の夫・ハリムを誰よりも理解し支えてきたミナは、病により余命わずか。そこに若い職人のユーセフが現れ、3人は青いカフタン作りを通じて絆を深めていく。刻一刻とミナの最期の時が迫るなか、夫婦は“ある決断”をする。
モロッコのセンシティブな問題を映し出した『青いカフタンの仕立て屋』は、2022年カンヌ国際映画祭「ある視点部門」に出品され、国際映画批評家連盟賞を受賞。さらに、2023年米アカデミー賞モロッコ代表として国際長編映画賞のショートリスト(最終候補15本)にも選出されるなど、多方面から高く評価されている。
劇中では、伝統を守る仕立て職人の指先にフォーカスし、色とりどりの滑らかなシルク地に刺繍する繊細な手仕事をクローズアップ。一針、一針、想いを込めながらドレスを紡いでいく、モロッコの伝統工芸の美しさを目にすることができる。
また、コーランが響く旧市街、新鮮なタンジェリンが並ぶ市場、大衆浴場(ハマム)、男たちがミントティーを楽しむカフェといったモロッコの日常的な風景にも注目だ。
ミナ…ルブナ・アザバル
夫のハリムとともにカフタンドレスの仕立て屋を営む。接客担当として職人の夫を支えてきたが、病により余命わずかに。夫を1人残すことが気がかりだったが、ハリムの美意識に共鳴するユーセフに対し、嫉妬心をいだく。最期の瞬間まで夫に愛と勇気を捧げる。
ミナを演じるのは『モロッコ、彼女たちの朝』で、最愛の夫の死に沈むアブラを演じたルブナ・アザバル。死期迫るミナを体現するために大幅に減量し、熱演を見せている。
ハリム…サーレフ・バクリ
カフタン職人。伝統を守る仕事を愛しながらも、自分自身は伝統からはじかれた存在であると苦悩する。才能のあるユーセフに熱心に指導し、温かなまなざしを送る。ミナを失う不安を振り払うようにカフタン作りに没頭する一方、ハリムは自らの葛藤の理由をひた隠しにしていた。
ハリムは、『迷子の警察楽隊』のサーレフ・バクリが演じる。内なる情熱と本心を隠す悲しみを、吸い込まれるような瞳で訴えかける。
ユーセフ…アイユーブ・ミシウィ
複雑な夫婦の愛にさざ波を起こす弟子。より紐作りも刺繍も慣れた手つきでこなし、古い手刺繍を愛でる審美眼も兼ね備えている若い職人。そばで見守っていたユーセフは、ハリムの葛藤が何によるものなのかに気付いている。
モロッコ、海沿いの街、サレ。旧市街の路地裏で、ミナとハリムの夫婦は母から娘へと世代を超えて受け継がれる、カフタンドレスの仕立て屋を営んでいる。伝統を守る仕事を愛しながら、苦悩を見せるハリム。そんな夫を誰よりも理解し支えてきたミナは、病に侵され余命わずかである。そこにユーセフという若い職人が現れ、誰にも言えない孤独を抱えていた3人は、青いカフタン作りを通じて絆を深めていく。そして刻一刻とミナの最期の時が迫るなか、夫婦は“ある決断”をする。彼らが導き出した答えとは。
【詳細】
映画『青いカフタンの仕立て屋』
公開日:2023年6⽉16⽇(⾦)
監督・脚本:マリヤム・トゥザニ
出演:ルブナ・アザバル、サーレフ・バクリ、アイユーブ・ミシウィ
英題:THE BLUE CAFTAN