ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON) 2024年リゾートコレクションが発表された。
今シーズンの舞台となるのは、イタリア・マッジョーレ湖に浮かぶイゾラ・ベッラ島。その水上にそびえるボッロメオ宮殿の神秘的な庭園が、華やかなランウェイへと様変わりした。ショーの序盤を飾るのは、“水中の世界”を連想させるユニークなピース。まるで“エラ”のようなシェイプの襟や、鱗や水滴のようなディテール。またウエットスーツに用いられるネオプレンがキー素材となり、ジャケットやパンツを象っている。
これに加えて、ボッロメオ宮殿を象徴する“バロック調”のムードが、コレクション全体を包み込んでいるのも印象的だ。貴族風の大げさなヘッドピースを纏ったモデルたちは、装飾性の強いマントやケープをコンビネーション。例えば、今季らしいボディスーツを主役にしたルックでは、まるでアコーディオンの骨組みのようなアームを持つ、ロングコートを軽やかに羽織っている。
またバロック建築のモチーフを落とし込んだような、クチュール仕立ての刺繍入りドレスシャツや、艶めくパンツ、ジャケットなども登場。中には、シルエットそのものもバロック装飾のように、優雅な曲線で仕上げた実験的なピースも存在する。その好例となるキルティングジャケットは、モデルの体躯を無視し、顎先までラウンドを描くユニークな仕上がりに。足元はアクティブなハイテクスニーカーを差し込んで、今季らしいムードでまとめている。
ラストにかけては、これまでのムードが一変、美しいクチュールドレスの数々がランウェイを席巻。そのドラマティックな変化は、水中から地上へとたどり着いたマーメイドの物語を連想させる。構築的なラインを描きながら、贅沢なラッフルやレースを重ねた華やかな様は、まさにお伽話の世界のようなドリーミーなムード。日常と非日常を行きかうコレクションの結末は、めでたくハッピーエンドで幕を閉じた。