アニメ映画 劇場版「美少女戦士セーラームーンCosmos」が公開へ。「美少女戦士セーラームーン」シリーズ最終章となる“シャドウ・ギャラクティカ”編が遂に幕明けとなる。
本作で描かれるのは、全てを破壊し、この宇宙をも支配しようと目論む敵“シャドウ・ギャラクティカ”と、強く美しいセーラー戦士の壮大な戦いだ。次々と仲間が狙われ、孤独に打ちのめされそうになりながらも、自らに課せられた使命を信じ、セーラームーンたちは再び強大な敵へと立ち向かっていく。
本記事では、90年代TVアニメシリーズから主人公・セーラームーン/月野うさぎを務めている三石琴乃をはじめ、本作から初参加となるセーラースターファイター/星野光役の井上麻里奈と、セーラー火球/火球皇女役の水樹奈々の3人にインタビューを実施。作品に込めた熱い想いから、声優業の舞台裏まで、たっぷりと話を伺うことができた。
■各キャラクターのおさらい
・三石琴乃…エターナルセーラームーン/月野うさぎ
愛と正義のセーラー服美少女戦士。プリンセスとして守られるだけでなく、自ら敵に立ち向かう。変身前の月野うさぎは、ちょっとドジで泣き虫だが、心惹きつける包容力と慈愛に満ち溢れている。
・井上麻里奈…セーラースターファイター/星野光(セイヤ コウ)
新たなセーラー戦士・セーラースターライツのひとり。常にクールで、スターライツのリーダー的存在。うさぎと親密な様子を見せ、物語も大きく動かしていく。
・水樹奈々…セーラー火球/火球皇女(かきゅうこうじょ)
セーラースターライツが守護する、キンモク星のプリンセスで、セーラー戦士。キンモク・スターの守護戦士、セーラー火球へと変身する。キンモク星がギャラクシアに襲われ、最愛の恋人を失いながらも、なんとか地球にやってくる。
まずは劇場版「美少女戦士セーラームーンCosmos」より、シリーズ初参戦となる水樹さんと井上さんへ質問です。お二人はオリジナル作品からの大ファンと伺いましたが、実際に「美少女戦士セーラームーン」作品の一員になれたご感想を教えてください。
井上:台本を手に取った瞬間、「ようやくセーラー戦士の一員になれたんだ」って、胸に熱い想いがこみ上げてきました。実は私はこれまでも「美少女戦士セーラームーン」作品の声優のオーディションを受けさせていただいて。当時から何が何でも「美少女戦士セーラームーン」の世界の一員になりたかったので、「落ちた」という報告を聞いた時は家で号泣してしまう程、ショックだったことを覚えています。
その後もチャレンジしたんですが、もう今世では「美少女戦士セーラームーン」の世界に参加することはできないだろうと諦めの境地に至りました。だから今回演じさせていただけるのは、私にとって本当に夢のような出来事。しかも、自分の中では最も遠い存在だと思っていた星野光役への抜擢でしたので、“まさか!”という驚きもありました。
水樹:私も同じく過去に「美少女戦士セーラームーン」のオーディションで落ちてしまった経験があったので、まさかその数年後に自分にこんな機会をいただける日がくるなんて、夢にも思っていませんでした。
だから今回、念願の台本をいただいた時は震えましたし、読ませていただいた時は涙しました。「やっぱり、うさぎちゃんが大好きだぁー!」って。
お二人の「美少女戦士セーラームーン」にかける熱い想いが伝わってきます!一方で“作品への愛”が大きい分、演じるうえでプレッシャーを感じられることもあったのでしょうか?
井上:私の場合は、プレッシャーがやはり大きかったですね。特に私が演じる星野くんが、“カッコよくないと、成り立たない。クールでちょっとぶっきらぼうだけど、包容力や強引さも有ったりして…。その駆け引きのバランスに、女の子が惹かれないわけないんですよ(笑)子供の頃、うさぎちゃん&まもちゃんカップルの間に、突如星野君という刺激的な存在が飛び込んできて、ハラハラしてしまった人は私だけじゃないはずです。
私自身、そんな星野君のようなカリスマティックな要素がないので、作品ファンの人を失望させないように演じられるかは、常に悩みどころでして…。原作やアニメのバランス感覚を取りいれながら、星野くんの魅力を引き出せるように、精一杯演じさせていただきました。
水樹:私もプレッシャーと緊張がありました。私の場合は、ファンとして『美少女戦士セーラームーン』の原作を読んでいると、勝手に自分がイメージした声で“脳内再生”が始まってしまうので(笑)、今回は一旦今までの作品に関する知識はあえて置いておこうと。自分がキャラクターの魂を降ろした時に、ありのままに感じたことを、演技に落とし込むことを意識しました。
それは、例えば「プリンセスで、こんな設定があるから…」と思考を働かすのではなく、自分がその状況に陥ったらどう感じるのか、それぞれのキャラクターに対して、どんな気持ちを抱くだろうか…と、まず自分の“感覚”に委ねること。そこから火球皇女のフィルターを通して、どういう風に役へアプローチするのか、丁寧に構築し愛を込めて演じさせていただきました。
こうして映画が無事に完成した今、子供の頃の自分にどんな言葉をかけてあげたいですか?
井上:「本当にセーラー戦士になれたよ!!」ですかね。物心ついた時から作品に夢中で、当時は“セーラームーンごっこ”ばかりしていたので。
水樹:私も麻里奈ちゃんと同じく、ドンズバ世代(笑)だったので、すご~く分かります!!「信じて進めば未来は開けるんだよ」って、当時の自分に伝えてあげたいですね。
三石さんは90年代からずっと、セーラームーン/うさぎちゃん役を演じてこられてきましたが、本作で遂にラストを迎えます。改めて感想をお伺いできますでしょうか。
三石:私自身は、90年代の作品と「Crystal」シリーズ(※1)は、自分の中で割と区別をしているんです。「Crystal」シリーズでは、始まる際に“またゼロから、皆でお城を作っていこう”という気持ちで作り上げていったシリーズでしたので、90年代のアニメシリーズとは、また別の感覚でセーラームーン役を作り上げていたことになるのだと思います。
それでもこれまでを振り返ってみると、うさぎちゃん自身は、色んな試練を乗り越えて成長しているようで、実は素の部分ではあまり変わっていないんじゃないかなって思うんですよ。相変わらず泣き虫だったり、ちょっとドジだったり(笑)。ただ本作が「Cosmos」で最終章なんですけど、そんなうさぎちゃんが、周りに助けを求めるだけでなく、自分の力を信じて前に進んでいる力強さも感じました。あ、これは本当に未来を任せられる“戦うプリンセス”になったのかなって。
※1 「Crystal」シリーズ
2014年からWEB配信と地上波で放送がスタート。劇場版も「Crystal」シリーズにあたる。