ミカゲ シン(MIKAGE SHIN)の2024年秋冬コレクションが、2024年3月13日(水)、東京・表参道にて発表された。テーマは“GAME CHANGER”。
“GAME CHANGER”とは、元来スポーツの試合で流れを一瞬にして変えるプレーヤーを指す言葉だ。近年では、従来の市場の流れやルールを破壊し一瞬で主導権を掌握する実業家や企業にも例えられるようになった言葉でもある。
今季、“GAME CHANGER”をテーマに選んだミカゲ シンは、見た瞬間に心と頭を瓦解させるような、強い“BUG”、すなわち衝動を与えるコレクションを展開する。
“GAME CHANGER”として、今季ブランドの殻を破るべく行ったのが、エレガントなテーラードアイテムの瓦解だ。ブランドが得意とするプリーツや尖った裾などの構造的なパターンワークの表現は継続しつつ、大胆な異素材のドッキングを施し、意外性をもたらした。たとえばロングフリンジを合わせることで、テーラードアイテムが持つ上品や清廉といったイメージに、狡猾性や力強さといった要素を加えている。
デニムは、職人の手作業により表面で炎が燃え盛っているかのようなビジュアルに。2枚のデニムを貼り合わせた後、1枚だけ糊を溶かすデニムボンディングオパールの製法により作られたものだ。また強酸性の薬品で5回以上ブリーチしたという手間を惜しまずに作られたデニムも登場し、大胆な表現こそ繊細な職人による技に支えられているというメッセージが感じられる。
熟練の技を持って瓦解を表現したルックもあれば、ストレートに瓦解に挑むルックも見受けられた。騙し絵をあしらったものがその好例。時にシンプルなトップスのプリントとして、はたまたゆったりとしたシルエットのパンツに、秘部を隠すようにして描かれた身体のプリントとして、観る者の目を欺いた。
瓦解に出会い人が“BUG”を起こした時、次に訪れるのは混乱だ。一筋縄に理解できないものと出会い衝撃をくらった時、何も考えられなくなる危なげな瞬間がある。そんな、自由に夢遊するかのような状態を、シアー素材やレース、ラメ糸のハンドカットジャカードといった素材で表現。キラキラと煌めくフリンジのトップス及びスカート、ワンピースに合わせたセーラーカラーのレースにより、瓦解から生まれるハードさと繊細さのギャップを生み出している。